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依頼された仕事で報酬を得ていた場合、「詐欺罪」は適用される?
では、ホームページに記載されていた学歴を信じて業務を依頼し、報酬を支払った人がいた場合、事実と異なる学歴を掲載して報酬を得たことについて、詐欺罪(刑法第246条1項)が成立するのでしょうか。
ホームページに事実と異なる学歴を記載していたとしても、業務を依頼するときは学歴以外の種々の要素をも考慮することが通常です。
学歴が契約の要素として重視されているような場合でない限り、財産的処分行為の判断の基礎となる「重要な事項を偽る行為」と評価して詐欺罪の成立を認めることは困難でしょう。
ちなみに「国会議員になる」など公職に当選するという目的をもって、
経歴について虚偽の事項を公にした場合は、公職選挙法235条1項に違反し、2年以下の禁固又は30万円以下の罰金に処せられることになります。
学歴詐称して企業に入社した場合は?
履歴書の学歴を詐称して企業に入社した場合、いかなる責任が生じるのでしょうか。
就業規則の内容や、詐称された経歴の重要性、業務への影響などにもよりますが、「重要な経歴の詐称」は、懲戒処分の対象となることがあります。
「重要な経歴の詐称」にあたるとされる主なものは、
最終学歴や、学歴以外では犯罪歴の詐称ですが、詐称の内容や当該労働者の職種などに即し、具体的に判断されます。
また、最終学歴の詐称には、低い学歴を高く詐称することばかりではなく、高い学歴を低く詐称することも含まれます。
雇用契約ではなく、コンサルタント業務のように個別の委任契約を締結していた場合にいかなる民事上の責任を負うかは、個別具体的な契約内容によって異なることになります。
学歴詐称は、芸能人やコメンテーターだけではなく、企業で働く場合にも大きな問題になりますので、十分注意しましょう。
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