(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
実の親子に近い関係を形成する
また、戸籍の記載も「養子、養女」ではなく実施と同じ「長男、長女」となり、原則として離縁もできない(通常の養子縁組は養親子の合意で離縁可能)など、養親と養子の間に実の親子関係に近い、強固な法律関係が形成されます。
また、上記のように実親との法的な親子関係を終了させる以上、特別養子縁組を成立させる前には、養親が養子となる子をしっかりと養育できるか否かを見極める必要があります。
このため、通常の養子縁組は基本的に当事者の合意のみで成立するのに対し、特別養子縁組を成立させるには「養親となる者が養子となる者を6箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない」と民法で定められています。
この6か月は「試験養育期間」と呼ばれています。養親はこの期間に養子となる子をしっかり養育監護し、自らがその子と特別養親子関係を結ぶことが妥当であることを家庭裁判所に示す必要があるわけです。
特別養子縁組 の監護期間における育児休暇の取得
今回の報道で注目されているのは、上記の試験養育期間を含む 特別養子縁組 の監護期間において、養親が育児休暇を取れるようにすべきとする議論です。
現行の育児・介護休業法の目的は、子の養育を行う労働者が退職することを防止しその雇用の継続を図ることとされています。この場合、育児休業の対象となる「子」とは、「労働者と法律上の親子関係かがある子」とされ、「実子のみならず養子を含む」と解釈されています。
同法に基づく育児休業が、労働者が申出を行えば事業主の許諾なく休業できる強い権利であることなどを考慮し、育児休暇を取得できる「子」の範囲については、子の養育実態の有無のみから判断するのはバランスを欠き、法律上の親子関係に準じる関係が存在するか否かという観点から検討すべきというのが基本的な考え方となっていることがわかります。
このような考え方からすれば、 特別養子縁組 の成立を目指して子を監護している場合は、実親子関係と同様の関係を築くことを目的として養育を行っているわけですから、法律上の「子」に準じて、育児・介護休業法に基づく育児休業の対象とすべきという議論が出てくるわけです。
特別養子縁組 だけでなく、「養子縁組前提里親」(養子縁組を前提として、児童を養育する里親)も同様に法律上の親子関係の形成を目指す制度なので、同じように法律上の子に準じて、同法に基づく育児休業の対象とすべきという議論になり得ます。
スポンサーリンク