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執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
監修:坂本 忍(医師・公認スポーツドクター・日本オリンピック委員会強化スタッフ)
「コタール症候群」は奇妙で重症な精神疾患です。その患者は「自分は死んでいる」と信じているのだとか。
『最重度のまれなうつ病』という見解もあり、その症状は「幻覚」や「妄想」のなかに分類されています。
臨床的には日本では初老期に出現されやすいと言われていますが、海外では17歳の女性の事例もあり、患者数は世界で100人ほどだとみなされています。
この非常に珍しいコタール症候群について、今回はご紹介していきたいと思います。
自分はこの世に存在していない?コタール症候群の由来
コタール症候群の患者は、「自分は死んでいる」「この世に存在していない」と信じていると言います。
別名「ウォーキングデッド・シンドローム(歩く死体症候群)」という呼び名もあるほどです。
1880年にフランスの精神科医ジュール・コタール(Jules Cotard)が「マドモアゼルX」と名づけた患者を紹介したことから、この病気が知られるようになりました。
ちなみにこの患者の場合、極度の自己嫌悪に陥り、自らの宗教であるキリスト教を否定し、自分には脳や内臓がないと信じていたそうです。
また永遠に呪われているので、自然に死ぬことはできないと思い込み、ついには餓死をしてしまったとのことでした。
コタール医師は当初、この病気を宗教的な意味と関連づけて考えていたようですが、その後キリスト教徒だけではなく、他の宗教や、日本人のように特定の宗教を信じていない人たちにも、この疾患にかかる人がいることが判りました。
現在では「体感幻覚」と「否定妄想」を主な症状とする「重症のうつ病」とみなされています。日本では、初老期に出現しやすいというのが専門医の見解です。
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