(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
「体感幻覚」の症状
幻覚は、見たり聞いたりといった感覚に関する障害(妄覚)です。
たとえば、見えないはずのモノが見えたり(幻視)、聞こえないはずの声が聞こえたり(幻聴)する症状が幻覚です。コタール症候群では、身体の感覚に関する幻覚が現れます。
「脳が腐って流れ出す」「脳が動いている」「右半身だけが持ち上げられる」などが挙げられ、これを「体感幻覚」と呼びます。
なかでもコタール症候群は、「内臓が無くなったので食事ができない」というような奇妙な身体感覚を、体感幻覚として訴えるという専門医の指摘があります。
「否定妄想」の症状
妄想は、ありえないことを考えているといった思考の障害です。
自分を王家の隠し子だと思い込む「誇大妄想」や、常に命を狙われていると怯えている「被害妄想」などがよく知られていますが、コタール症候群では否定妄想が中心になります。
たとえば、日本人の患者にみられる否定妄想としては「私はすでに死んでいる」「私はまだ生まれていない」「私には性器・胸部・口唇部が存在しない」「私の頭や体は、それらの部位を虐待で殴打されたときに消滅した」「私はこの苦悩のまま永遠に生き続けなければならない(いかなる方法によっても死ぬことができない)」などが挙げられています。
最後の「不死妄想」は深刻です。
うつ病の場合「希死念慮」といって、絶望のあまり死ぬことを望むことがありますが、コタール症候群ではうつ病が重すぎて、「死ぬことさえもできないほど罪深い」「未来永劫責め苦が続く」と思い込んでいるからです。
スポンサーリンク