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たくさん食べても痩せてしまう健康問題とは
たくさん食べているのに痩せている場合、次のような病気が隠れている可能性があります。
拒食症(神経性食欲不振症)
拒食症は、「摂食障害」に分類されている病気のひとつです。拒食症になると、明らかに痩せているにも関わらず、自分は太っていると考え、体重が増えることに対する恐怖心を拭うことができません。
その結果、極端な食事制限から「極度に痩せた状態」に陥ります。
拒食症と聞くと、「食べないで痩せているのでは?」と思われるかもしれません。しかし、「過食・排出型」といって過食(たくさん食べた)後に、過食の代償行動として、嘔吐(おうと)や下剤や利尿剤を使用して体重を落とす不適切な排出行為がみられる場合があります。
その代償行動の結果、体重減少がみられるのです。
このように、拒食症は極端に食事を食べないだけでなく、たくさんの量を食べていても代償行動によって極端に痩せている場合もあるのです。一方、同じように過食と代償行動を繰り返していても、体重が正常範囲内である場合には、「過食症(神経性過食症)」と診断されます。
拒食症で極度に痩せていると、電解質の異常や不整脈による突然死、低血糖による昏睡といった生命の危機にもつながるリスクを高め、早急な治療が必要になります。
また身体的な症状以外でも、精神面での不安定さから気分障害や不安障害などの精神疾患も併せてよくみられます。そのため、拒食症をはじめとする摂食障害は心身への専門的な治療が必要になるのです。
消化器官の問題
消化器官の問題としては、「胃、十二指腸の潰瘍」「潰瘍性大腸炎」「クローン病」といった病気が考えられます。
消化器に原因があるので、食欲の減ることが往々にしてあり、たくさん食べることができないことも多いです。しかし、食べた栄養を消化管で十分に吸収できなくなることで、たくさん食べても痩せてしまうことがあります。
そして、これらの病気は炎症性のものなので、痛みや出血といった症状を伴うことも多くあります。
内分泌異常が問題
たくさん食べて摂取したエネルギーを過剰に消費して痩せている場合もあります。「バセドウ病」もしくは「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」といって、甲状腺ホルモンが過剰に作られる女性に多い病気です。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで体重の減少がみられます。また、体重減少以外にも、次のような症状がみられます。
・脈が早くなる、動悸がする
・疲れやすい
・喉仏の下にある甲状腺が腫れる
・発汗
・手の震え
・眼球の突出など
このように、たくさん食べているにも関わらず痩せている、あるいは痩せてしまうという裏には、病気が潜んでいる可能性もあります。
なかには、たくさん食べていても痩せていられることに、魅力を感じる方もいるかもしれません。
しかし、健康のためには、適切な量を食べて、健康的な体重を維持することが何よりも大切といえるでしょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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