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PMDDとPMSはどう違う?
月経の始まる3~10日ほど前から心身に不快な症状が現れるものを「PMS(PreMenstrual Syndorome;月経前症候群)」といいます。
PMSには、月経が開始すると症状が緩和する、あるいは無くなるという特徴があります。
PMSの症状には個人差がありますが、次のようなものが挙げられます。
身体的な症状
下腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、頭痛、頭重感、乳房痛、のぼせ、手足のむくみなど
精神的な症状
抑うつ、怒りの爆発、いらだち、不安、混乱、社会からのひきこもりなど
「日本産婦人科学会のガイドライン(2014)」では、日本では生殖年齢の女性の70~80%に何らかの症状が現われること、さらに、5.4%の確率で中等症以上(日常生活に困難をきたすレベル)のPMSが現れることが指摘されています。
これに対して、PMDDは、こうした症状の中でも精神的な症状が強く現れる点に違いがあります。
具体的な症状については、次からみていきましょう。
PMDDの症状
米国精神医学会が出版している「DSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き)」では、PMDDの診断基準がまとめられています。
これをもとに、PMDDの症状をまとめていきます。
1.著しい感情の不安定性(突然悲しくなる、涙もろくなる、拒絶に対する敏感さが増すといった気分変動がある)
2.著しいいらだたしさ、怒り、対人関係の摩擦が増える
3.著しい抑うつ気分、絶望感、自己批判的思考
4.不安または緊張
5.通常の活動における興味の減退
6.集中困難
7.倦怠感
8.食欲の変化、もしくは特定の食べ物への渇望
9.不眠または過眠
10.絶望感または制御不能感(自分を失った感じ)
11.乳房の圧痛(圧迫されたときに生じる痛み)、関節痛や筋肉痛、体重増加、むくみなどの身体的症状
月経の1週間前くらいから、上記のうち5つの症状が現れ、かつ、そのうち最低1つは1~4の症状であるときに、PMDDの可能性が疑われます。
上記の症状はPMSと同じように、月経開始数日以内に軽快しはじめ、月経が終了する週には最小限になるか、消失します。
また、次のことも診断する上でポイントになります。
・1年間のうち、ほとんどの月経周期で上記の症状が現れている
・上記の症状が1年間程度、月経のたびに起きている
・ほかの精神疾患や薬などによるものではない
・上記の症状が仕事や学校などの普段の社会生活や人間関係に支障をきたしている
PMDDの発症頻度は1.2%と、PMSと比べて少ないことがわかっています。
ただ、症状の程度によっては、自傷や自殺企図の症状が現れることもあり、本人にとってはかなり深刻な問題です。
PMDDの女性の中には、月経前になるたびに現れることから、本人は「いつものこと」と我慢していることも少なくないようです。
しかし、PMDDは、婦人科や心療内科で治療することによって、症状を軽減させることができます。
それでは、どのような治療法があるのか、見ていきましょう。
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