障害? 個性?「自閉症スペクトラム」について

Mocosuku(もこすく)
  • 障害? 個性?「自閉症スペクトラム」について

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

障害? 個性?「自閉症スペクトラム」について

公開日時

自閉症から自閉症スペクトラムへ

 
後年、自閉症にもさまざまなタイプがあることがわかってきます。
 
たとえば、知的障害は重いケースから通常範囲まで多様でした。
 
また、知的障害を持たないばかりか、コトバの遅れもない「アスペルガー症候群」、計算などで独特の能力を発揮する「サヴァン症候群」などがよく知られています。
 
支援に関しても、重症で手厚い支援を必要とする場合から日常生活にほとんど支障をきたさないケースまであります。
 
そこで、2013年に改定されたDSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き:アメリカ精神医学会発行、最新版)では、このような程度も質もさまざまなタイプを「スペクトラム:連続体あるいは集合体」と統合して、「自閉症スペクトラム障害:ASD」と命名しました。
 
さらに最近では、医療や福祉などの支援対象となる「自閉症スペクトラム障害」と、障害とまで言えないけれど、同じような行動特徴をもつ「自閉スペクトラム」とに分けられることもあります。
 
これらの統合的な概念が「自閉症スペクトラム:AS」です。
 
 

自閉症スペクトラムの特徴

 
自閉症スペクトラムでは、「対人関係が苦手」なことと「こだわりの強さ」が症状の2大特徴といわれます。
 
対人関係については、幼少期は反応が鈍かったり、発語の異常があったり、他の子とかかわり方の様子が異なったりといったかたちで現れます。
 
思春期以降になると、つきあっていると不自然さを感じさせたり、場合によっては対人トラブルに発展することもあります。
 
本人は筋の通った言動をしていても、周囲にはそれが不自然に見えたり、「空気が読めない」と感じたりすることもよくあります。
 
一方、「こだわりの強さ」については、幼少期は、同じ遊びをくり返したり(常同行動)、好みが変わっていたり、手順を変えられなかったりします。

 

長じて思春期以降になると、全体よりも部分が気になったり、好き嫌いが極端に分かれたり、注意や興味が向きにくい領域には触れなかったりして、「わざと避けている」などと誤解されることもあります。
 
その他にも、特定の臭いや音などを好んだり、感じ方が極端だったりする、視覚や聴覚など感覚機能の特殊性や、過去を覚えるのは得意だけれど未来を想像するのは苦手といった特徴なども、自閉症スペクトラムの傾向的特徴として指摘されているところです。
 
 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【メンタルヘルス】新着記事

自律神経に良い『トリプトファン』を効果的に摂取してハッピー♪になろう

自律神経に良い『トリプトファン』を効果的に摂取してハッピー♪になろう

執筆:磯野 梨江(管理栄養士) 医療監修:株式会社とらうべ 「トリプトファン」はアミノ酸の一種です。 トリプトファンが不足すると精神的に不安定な状態や不眠などを招き、やがて自律神経や体内リズムの乱れ...

2019/07/16 18:30掲載

春のメンタル不調…対策は早めが鉄則。適度な「ズボラ」も大事!

春のメンタル不調…対策は早めが鉄則。適度な「ズボラ」も大事!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ この春、多くの新入生や新社会人の方が新たな生活をスタートされたことと思います。 あるいは、家族の学校や仕事の変化に伴い、生活環境や生活...

2019/05/21 18:30掲載

今どきの「五月病」と最近増えている「六月病」…原因と対策

今どきの「五月病」と最近増えている「六月病」…原因と対策

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 例年、この時期になると話題になるココロの不調「五月病」。 今や言葉としてすっかり定着しましたが、最近は五月ではなく六月に同じような状態にな...

2019/05/14 18:30掲載

10人に1人とも言われる「産後うつ」は、予備知識も大事

10人に1人とも言われる「産後うつ」は、予備知識も大事

執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 産後のメンタルヘルス不調、いわゆる「産後うつ」は、今や10人に1人は経験するとも言われています。 出産という大仕事を果たした後...

2019/03/13 18:30掲載

大人の悪夢はストレスが原因? 『悪夢障害』とは

大人の悪夢はストレスが原因? 『悪夢障害』とは

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは悪夢に悩まされていませんか? 繰り返し見る悪夢によって睡眠が妨げられ、日常生活にまで支障を来す状態を「悪夢障害」と呼び、医...

2019/03/08 18:30掲載

芸能人にも多いパニック障害… 近年増加している理由は?

芸能人にも多いパニック障害… 近年増加している理由は?

執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 昨年、アイドルグループ「Sexy Zone」の松島聡さんが突発性パニック障害であることを公表し、芸能活動の休止を発表したことは記憶に...

2019/03/05 18:30掲載