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発達障害の3つの特徴を理解する
自閉症スペクトラム障害は「発達障害」のひとつです。
子どもが発達していく過程でみられる、生まれつきの脳機能障害による行動や認知の障害の総称が「発達障害」で、現在、子どももさながら、大人になっても発達障害によるハンディキャップを抱えている人たちにも関心が集まっています。
そんな発達障害には共通する次の3つの特徴が指摘されています。
- 1. 脳(中枢神経系)の機能障害がある
- 2. 原因はさまざまながら、乳幼児期に行動特性(症状)が現れる
- 3. 行動特性(症状)は、本人の発達や周囲からの働きかけによって変化する
1については脳科学や画像診断技術の向上によって、いろいろなことが解明されてきているものの、まだ、未知の部分も多く残しています。
いずれにしても、現段階では脳の機能障害を完治することはできません。
だからこそ、2と3の特徴によって、早い段階で見つけ出し(早期発見)、支援や訓練(これを療育:治療教育と呼びます)を積み重ねることで、自立的で個性的な人生を送ることも十分に可能だとされています。
自閉症スペクトラム:障害か個性か?
生活や活動に重篤な支障をきたしている場合は、これを障害として、診断や支援の対象にしています。
しかし、程度が軽くて日常生活に支障がないような場合や、本人の自閉症スペクトラム的な特徴が、たとえば創造的な仕事につながっているような場合なら、むしろ、それは個性とみられます。
スペクトラム(=集合体・連続体)とは、そのように多様な理解と多様なかかわりを、本人にも周囲にも期待しているように思われます。
【参考】
・本田秀夫監修『自閉症スペクトラムがよくわかる本』講談社、2015
・榊原洋一『よくわかる発達障害の子どもたち』ナツメ社、2015
・中山和彦、小野和哉『よくわかる大人の発達障害』ナツメ社、2015
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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