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音楽療法の効果
現在、日本音楽学会HPには次のような音楽療法の医療的効果が謳われています。
自律神経、免疫系、ホルモン系への音楽の影響から、確実な音楽療法の有効性についてのエビデンスが構築されつつある
医療領域では、音楽による不安軽減や疼痛緩和効果が明らかになっている
終末期医療では、音楽療法を受けた人と受けなかった人との比較で、受けた人の方が寿命は長かったという報告がある
認知症高齢者領域では、不安と不穏、敵意の軽減があげられる。また、音楽療法の実施後に免疫にかかわるNK細胞の活性化が認められる
障害児や障害者領域では、心と身体の発達支援に役立つことがわかっている
このように、多岐にわたって音楽療法の治療的あるいは支援的な効果が認められていると言えるでしょう。
とりわけ、身体・発達障害、精神障害、認知症、不登校やひきこもり、終末期(ガン末期)の患者さんなどがおもな対象となっています。
また、以上のような治療効果のほかにも、音楽に合わせてダンスをしたり歌ったりすることで運動機能を伸ばしたり、自己表現力や想像力を向上させたり、発声・発語をうながしたり、といった教育的効果も期待できます。
さらに、言語的コミュニケーションが苦手な人にとっては、音楽が非言語的な側面があるので、入りやすいコミュニケーション方法の機能も担うことが明らかです。
いわゆる「音楽は国境を超える」という意味です。
音楽療法士になるには
音楽療法士の資格は現在のところ、公的なものではなく認定資格です。
音楽療法士になる一般的なルートとしては、大学・短大・専門学校を卒業後、医療・福祉・教育・心理のフィールドで5年以上の臨床経験を積み、日本音楽療法学会の講習会に参加後、音楽療法士試験を受け、病院や福祉施設などで働くというものです。
ちなみに、日本音楽療法学会の必修講習では、ピアノの実技と音楽理論の試験があるそうです。
米国で音楽療法士の資格を取った佐藤由美子さん(米国認定音楽療法士:MT-BC)によると、アメリカではピアノとギターが弾けること、そして、歌が唄えることが条件だそうです。
もちろん、クライエントのニーズに応じて、それ以外のドラムなどほかの楽器も使えることは有効です。
さて、2001年に発足した「日本音楽療法学会」の名誉理事長は、先日ご逝去された日野原重明先生です。
2016年現在、全国9支部と約5500名の会員が所属しているとのこと。
将来、音楽療法士が国家資格になるよう発展させていきたいとの、日野原先生のご意向です。
【参考】
・日本音楽療法学会 http://www.jmta.jp/about/outline.html
・佐藤由美子さんブログ http://yumikosato.com/
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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