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「がん」と「癌」のちがい
ひらがなの「がん」と漢字の「癌」とはどのように使い分けられているのでしょうか?
大阪大学微生物学研究所の野島博教授によると、「本来の役割を果たさないで、ひたすらに増殖をはじめてしまった細胞」を「悪性腫瘍(あくせいしゅよう)、あるいは悪性新生物」と呼び、これを「がん」とひらがなで表記するとされています。
正常細胞や良性腫瘍でないものが「がん」ということですね。
これに対し、漢字表記の「癌」は、「上皮組織が悪性化(がん化)したもの」とされています。
上皮とは外界と接している身体の表面組織のことを意味し、主に空洞部分に接し、他の器官との区切りや外界からの保護の役割を果たしています。
皮膚、食道、胃、腸、乳腺、肝臓、すい臓、膀胱、子宮などがこれにあたります。
つまり、上皮組織の悪性腫瘍が「癌」ということになります。
がん全体の8~9割を占めるとされています。
「がん」は「癌」の上位概念
改めて整理しましょう。
人間の身体を構成する約60兆の細胞のうち、正常細胞と良性腫瘍をのぞく「悪性腫瘍=悪性新生物」が「がん」です。
その中で、上皮組織の悪性腫瘍を「癌」と呼びます。
舌癌、乳癌、肺癌、胃癌、卵巣癌などです。
脳、筋肉、骨、血液細胞、リンパ球など上皮性ではない悪性腫瘍の場合、これらは、脳腫瘍、骨肉腫、悪性リンパ腫、白血病などと呼ばれます。
「がん」とは言わず、別の病名がついているのです。
表記のルールからすると、これらは、「がん」であり「癌」ではないことになります。
つまり、癌、骨肉腫、リンパ腫、白血病の総称(=上位概念)が「がん」ということになります。
ちなみに、カタカナの「ガン」は、ひらがなと同義だそうです。
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