出産の痛みを緩和する「無痛分娩」 リスクはないの?

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出産の痛みを緩和する「無痛分娩」 リスクはないの?

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無痛分娩のメリット

 
無痛分娩のメリットはおもに次の4つです。
 
 
(1)痛みを和らげる
 
「硬膜外鎮痛法(こうまくがいちんつうほう)」では、背中から「硬膜外腔(こうまくがいくう)」という部位に細い管を通し、適量の麻酔薬を入れます。
 
これにより、痛みが脳へと伝わるのをブロックします。
 
おもに痛みの伝達を妨げる、という方法なので、お産に必要な子宮の収縮(陣痛)を止めるわけではなく、身体を動かすこともできます。
 
 
(2)身体の緊張をほぐす
 
陣痛は、赤ちゃんを外に押し出すために不可欠な子宮の収縮です。
 
一方で、「またあの痛みに襲われる」という不安や恐怖心から、呼吸がうまくできなかったり、全身がガチガチに緊張してしまったりする場合があります。
 
そうすると、赤ちゃんがなかなか産道を通ることができず、お産が滞ってしまいます。
 
このような緊張状態は、お産の進行に有利ではありません。
 
無痛分娩による痛みの緩和は、緊張状態をほぐすことにつながります。
 
 
(3)お産による疲労を減らす 
 
痛みに耐えようとすると、そのぶん酸素もエネルギーも多く必要とするため、身体の疲労度は増します。
 
痛みによって身体はさまざまな反応を示します。
 
たとえば、「カテコラミン」というホルモンが分泌すると、呼吸や脈が速くなる、血圧が高くなるなどの反応が現れます。
 
硬膜外鎮痛法では、赤ちゃんを押し出す力は残しつつ痛みを和らげますので、出産後の疲労は少なくて済みます。
 
 
(4)特別な場合の選択肢として
 
(1)~(3)のメリットから、心臓の病気や血圧が高いなど、特別な病気を合併している方には、お産による身体への負担を軽減するため、あえて無痛分娩がすすめられるケースもあります。
 
 

無痛分娩のデメリット

 
一方で、無痛分娩には次のようなデメリットもあります。
 
 
(1)費用が高い
 
無痛分娩は、通常のお産よりも費用がかかります。
 
費用は無痛分娩をあつかう医療機関によって異なりますが、通常のお産にくらべて最大で16万円ほど高くかかることも。
 
 
(2)副作用がある
 
足に力が入りにくくなる、尿意が鈍くなる・尿が出しにくい、血圧が下がるなど、命に関わるほどではないものの、副作用が現れることは珍しくありません。
 
また、まれに、「局所麻酔薬中毒」や「脊椎くも膜下麻酔(せきついくもまくかますい)」など、重い副作用が起こることもあります。
 
このような状態に陥ると、異常なほど血圧が下がったり、呼吸が停止したり、場合によっては心臓が止まる危険性も出てきます。
 
そのため、慎重に監視をしながら、適切な対処が必要になります。
 
副作用が起こる理由などを含む詳しい説明を医師から受け、充分理解した上で分娩方法を選択しましょう。
 
 
(3)安全に対応できる医療体制が整っていない
 
無痛分娩は、陣痛促進剤の使用や、吸引分娩や鉗子分娩(かんしぶんべん)を行うなど、麻酔以外の医療的行為も必要になりますので、自然分娩以上に手間がかかります。
 
しかし、現実には、産科医や麻酔科医の不足、看護師や助産師を含む、緊急事態に対処するスキルや安全体制が充分に整っていない、といった問題を抱えています。
 
日本産婦人科医会は、「母体安全への提言2016 vol.7」のなかで、「無痛分娩を提供する施設では、器械分娩や分娩時異常出血、麻酔合併症などに適切に対応できる体制を整える」ことを提言として掲げています。
 
安心してお産に臨むためには、希望する分娩方法のメリットとデメリットをしっかりと理解することがとても大切です。
 
決して受け身になることなく、納得のゆくまで医師と相談をして、ご自身にあった分娩方法を選択するようにしましょう。
 
 
【参考】
・日本産婦人科医会「母体安全への提言2016 vol.7」(http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/08/botai_2016.pdf)
・日本産科麻酔学会「無痛分娩Q&A」(http://www.jsoap.com/pompier_painless.html)
 
 
<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 

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