(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
精神障害
精神障害の定義は精神保健福祉法第5条(※)に規定されています。
「精神障害者とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」
この記述を読むと、精神障害と精神病とは同義のように思えますが、精神障害は法的概念でもあります。
病気の内容は同じことを言っていても、医学的(科学的)か、社会的(法的)かといった、視点による違いがあるといえるでしょう。
※参考:電子政府の総合窓口『精神保健及び精神障害者福祉に関する法律』(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC1000000123&openerCode=1)
精神異常
ここで、「異常」と「正常」というコトバに着目して考察します。
まず、「異常」とは、「正常ではない」状態のことです。
「正常」とは「日常生活でよくある」とか、「多くの人が経験している」とか、要は「ふつうのこと」です。
たとえば、誰かに親切にしてもらった→嬉しい気持ちになった→相手に感謝を伝えた、という流れは「正常」ですよね。
ところがこのとき、相手の厚意を迷惑と受け取り怒鳴り散らした、としたらどうですか。
「あの人おかしいね」と周囲は感じて、変な人=「異常」とみなすのではないでしょうか。
もちろん、この行動が必ずしも精神障害や精神病によるとは限りません。
運動不足解消にあえて電車の中で立っていたお年寄りが、若い人から席を譲られて腹を立てた、とか、大切な人を亡くしたばかりであるとか、明日の合格発表を控えて極度に緊張してパニックに陥ったとか、雰囲気にのまれて普段飲まない酒をイッキ飲みしたなど…
「ふつう」から逸脱してしまうのは誰にでも起こりうることです。
喪失体験や強い不安感、集団心理など、普段とは違う経験や感情が、その人の心理を一時的に「常ならざるもの」に変えてしまうのです。
しかしこれは、(一時的な)精神異常であっても、精神障害や精神病とはいえません。
スポンサーリンク