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ベーチェット病の原因
現在のところ、発症に遺伝子が関与することは分かってきましたが、遺伝病とは考えられていません。
一方、ドイツのトルコ移民の研究から、環境要因の重要性も指摘されています。
ドイツに移住したトルコ人の発症率はドイツ人より高く、トルコ在住のトルコ人に比べると低いとされています。
厚生労働省難治性疾患政策研究事業「ベーチェット病に関する調査研究班」(※1)によると、原因不明としながらも「何らかの遺伝素因(体質)が基盤にあって、そこに病原微生物(細菌やウイルス)の感染が関与して、白血球をはじめとした免疫系の異常活性化が生じ、強い炎症が起こって症状の出現に至る」という見解を、有力な仮説として示しています。
ベーチェット病の診断
日本では「厚労省ベーチェット病診断基準」(2003年改訂)(※2)が一般的に適用され、4つの主症状と5つの副症状の組み合わせにより、「完全型」「不完全型」「疑い例」に分類されています。
主症状
1.口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍(口内炎)
ほぼすべての患者に見られる、初期症状です。
口唇、頬の粘膜、舌、歯肉、口蓋粘膜に円形で鮮明な潰瘍ができます。
口内炎は一般的にもよくある症状ですが、繰り返し現れるという点が特徴です。
2.眼症状
視力障害や失明の原因になりうる、最も注意が必要な症状です。
前眼部では虹彩毛様体炎(こうさいもうようたいえん)、眼痛、充血、瞳孔不整(どうこうふせい)、後眼部では網脈絡膜炎(もうみゃくらくまくえん=後部ぶどう膜炎)から視力が低下するなど、発作を繰り返すうちについには失明に至ることもあります。
3.皮膚症状
下腿伸側(かたいしんそく=下肢の外側)や前腕に紅斑様皮疹(こうはんようひしん:赤くはれた皮膚の病変)ができます。
また、病変部は赤くなり、皮下に硬いしこりのようなものができて痛みをともないます。
顔や頸、胸などにニキビに似た皮疹が出ることもあります。
下腿の皮膚表面の血管に、血栓性静脈炎(けっせんせいじょうみゃくえん)が起こることもあります。
ほかにも、皮膚が過敏になり、虫刺され、注射、剃毛など、皮膚が刺激を受けると発赤(ほっせき:赤くただれる)や小膿疱(しょうのうほう:うみ)などの症状がみられます。
4.外陰部潰瘍
男性器や女性の外性器や膣粘膜に痛みをともなう潰瘍がみられます。
副症状
1.関節炎
肩・ひじ・手首・膝・足首など大きな関節が腫れ、傷みや発熱をともないます。
手指などの小関節は侵されない点から関節リウマチとは区別されます。
2.血管病変
動脈では動脈瘤、静脈では深部静脈血栓症がよくみられます。
圧倒的に男性に多くみられる病型です。
3.消化器病変
回盲部(小腸と大腸の間の部分)潰瘍に代表される病変で、食道から直腸にいたるまでどこにでも生じます。
腹痛・下痢・下血などをともない、重症化すると緊急手術が必要になります。
4.神経病変
髄膜炎や脳幹脳炎などの急性症状と、片麻痺や小脳症状などの神経症状に認知症などの精神症状をきたす慢性進行型に大別されます。
難治性で男性に多く、慢性型は治療効果も乏しいとされています。
5.副睾丸炎
睾丸部に圧痛と腫れが起こります。男性患者の約1割にみられます。
なお、副症状のうち、大血管、消化器管、中枢神経に病変が生じると、重篤化し後遺症が残ることがあります。
これらは「特殊病型」として、それぞれ「血管型」「腸管型」「神経型」ベーチェット病と呼ばれています
※1、2 厚生労働省難治性疾患政策研究事業「ベーチェット病に関する調査研究班」(http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~behcet/patient/behcet/care.html)
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