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執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
家の中やベランダ、庭や道路にまで、足の踏み場がないほど散らかっている、いわゆる汚部屋やゴミ屋敷。
テレビでもしばしば取り上げられますね。
なかにはメンタルな理由から片づけられないケースもあり、これを「片づけられない症候群」と呼んでいます。
うつ病や発達障害の影響によっても起こります。
一方、常識的には“ゴミ”であるものを、本人はゴミと思わず溜め込んでいく病気を「溜め込み症候群」といい、前者とは区別しています。
今回は、この「溜め込み症候群」についてご説明いたします。
溜め込み症候群の診断基準
別名「溜め込み症、溜め込み障害:hoarding disorder 」とも呼ばれるこの病気は、精神疾患として正式に認定されています。
『DSM-5(『精神疾患の分類と診断の手引き』最新版)』によると、次のように記述されています。
価値に関わりなく所有物を捨てたり手放したりすることが持続的に困難
物を保存したい、捨てることは苦痛といった動機が、捨てられない困難さの原因
捨てられないことによって物が散らかり、生活が困難になっている
溜め込むことが本人にとって苦痛や社会生活の障害となっている
脳疾患など他の医学的疾患に起因するものではない
他の精神疾患によって説明できない
※「過剰収集を伴う」「病識はある場合もない場合もある」が該当すれば特定することが注記されています。
たとえば、マニアやコレクターと呼ばれる人たちは、周囲からは「どんな価値があるの?」と疑問に思われても本人には立派な価値のあるものを収集します。
これに対して、溜め込み症候群は「捨てないで溜め込むこと」にこだわっています。
そして、捨てられることに抵抗を示します。
テレビで見かける「ゴミ屋敷」の住人がモノを廃棄されて怒りだす場面は、溜め込み症候群の可能性を考えると納得できる反応なのです。
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