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選択性緘黙とは?
『DSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き)』では、場面緘黙は「他の状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている特定の社会的状況において、話すことが一貫してできない」と定義されています。
話す能力に障害があるわけではなく、家庭などでは普通に話ができているのに、学校や職場といった「特定の場所」で話ができないという不安障害です。
また、次の3タイプに分類する考え方もあります。
社会化欲求型
「家庭内ではおしゃべりだが家庭外では沈黙がある。家庭内外の対人態度に差があり、家庭以外にコミュニケーションを求めるもの」
このタイプは、沈黙は自分の立場を維持しようとする「自己主張」だとみなされています。
社会化意欲薄弱型
「家庭内でも無口で生活行動全般に意欲が乏しい。家庭外でもコミュニケーションを求める意欲に乏しいもの」
このタイプは、家庭内外を問わず自己主張に欠けるとされています。
社会化拒否型
「家庭外だけでなく家庭内でも場面緘黙があるもの」
このタイプには、家庭以外ではコミュニケーションを拒絶しているように見える、家庭内でも母親との強い結合がみられる、といった指摘があります。
場面緘黙の原因
選択性緘黙の原因には、次のような要因が指摘されています。
内気な性格や敏感さ
繊細な気質から小さな刺激でも大きな不安を感じていると、人間関係や集団行動で「なじむのに時間がかかる」「他人に対して慎重」「目立つことを嫌う」などの特性をもっていきます。
よって、家庭のようにリラックスしているときは話せるのに、緊張や不安の多い社会的場面では緘黙してしまうと考えられます。
コミュニケーションの問題性
場面緘黙は、バイリンガルの子どもに発症することがあります。
「会話は難しい」と感じさせてしまう、複雑で高度なコミュニケーションを求められる環境によるものと考えられます。
場面緘黙の子どもの3分の1には、こうした言語の問題があるといわれています。
発達障害との関連
医学的には不安障害とみなされ、発達障害ではありません。
専門家のなかには、言語能力の遅れなど発達障害の影響を指摘する人もいます。
認知の偏り=考え方の癖
感覚が過敏である、コトバの理解に時間がかかる、物事の捉え方や考え方に偏りがあるといった「認知の偏り」も場面緘黙につながると考えられています。
原因として、脳の認知機能の問題もあるでしょうし、一方で、「認知の偏り」を修正する周囲の大人の影響が薄いという点も汲み取るべきでしょう。
身体を動かすときの特徴やつらい経験
運動が不得手、不器用、発達がゆっくりしている、空気が読めない、動作がぎこちないなど、身体を動かすときなどの特徴が場面緘黙のきっかけになることがあります。
引越しなど急激な生活環境の変化、いじめ・病気などのつらい体験なども同様です。
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