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食欲・性欲・睡眠欲の意味
冒頭にもお伝えしたように、「三大」なのかどうかは別として、マズローの概念でも食欲・性欲・睡眠欲はどれも、最下層の「生理的欲求」の中に位置づけられています。
人間が生物として生きていくために必須の欲求ということになります。
これなしには、上位の欲求は「砂上の楼閣」になってしまうとも言え、最も基本的な欲求、それが「生理的欲求」、つまり、食欲・性欲・睡眠欲というわけです。
このことに時代の移り変わりは関係がないように思います。
ちなみに、生理的欲求はほかの種類もあります。
たとえば水分充足には「渇欲求」、疲労の回復には「休息欲求」などなど。
これらをどれが「三大」なのかと議論することは意味があるとは思えません。
どれも、それなしには人間は生物体として生きていくことは出来ないわけですから。
ただし、現代においてこれらの欲求は、量ではなくむしろ質の問題として問われています。
質の高い睡眠がとれているかどうか、肥満や拒食症に陥らないような食生活ができているかどうか。
さらに、セックスがハラスメントになっていないかなど、かつての欠乏し飢えていた時代とは違って、少なくとも今の日本では基本的欲求の充足は可能となっています。
すると、人々はより質の高さをこれらの欲求充足に求めます。
グルメがはやったり、高級寝具が売れたり、性の奥義が追及されたりするのは、人々の関心が、ただたくさん食べることよりどう美味しく食べるか、ひたすら眠ることではなく、充実した睡眠サイクルを営み翌朝はスッキリと目覚めて太陽の光で体内時計をリセットできるような睡眠が確保されているかどうか、ということにシフトしているからだと言えるでしょう。
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<執筆者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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