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強迫性障害に分類される「醜形恐怖症」
自分の意に反して繰り返し迫ってくる不快なイメージを「強迫観念」といいます。
そして、この強迫観念から起こる不安な気持ちから「〇〇しないではいられない」という行為に及ぶことが「強迫行為」。
さらに、強迫観念と強迫行為を繰り返すのが「強迫性障害:OCD(Obsessive Compulsive Disorder)」と呼ばれる精神疾患です。
精神医学では醜形恐怖症は「強迫性障害とその関連障害群」に分類されています。
見た目や身体の形態が本人にとって「異常」や「欠陥」という思いにとらわれている点が「強迫観念」に相当します。
その結果としての「強迫行為」には次のような行為が挙げられます。
鏡を頻繁に見たり、逆に過剰に鏡を避けたりする
帽子やマスク、濃いメイクやサングラスなどで気になる部位を隠す
ほかの人に自分はおかしくないか、繰り返し尋ねる
美容整形や歯科矯正など医学的処置を施すが、満足できず繰り返したり、法的に訴えたりする
人と接する場所や公衆の面前に出ることを避ける
こうした行為を、何度も繰り返さないといられないようになります。
挙句に「こんな外見では人前に出られない」と、引きこもりや社会活動からの撤退へとエスカレートします。
発症の契機
身体醜形障害は12~13歳ころの思春期の発症が多いとされ、男性よりも女性に発症しやすいといいます。
平均発症年齢は16~17歳といわれています。
醜形恐怖症は「こうありたい」と願う自分の理想と現実とのギャップに衝撃を受け、コンプレックスに陥っていることが、発症の根底にある心理状態でしょう。
これは、強迫性障害が純粋なまでの完全主義に由来するのと同じような状態です。
ギャップが不安や自分への嫌悪感となり、それを打ち消そうと強迫行為を繰り返すうちに、悪循環を招いていきます。
やがてさまざまな面で自信を喪失して抑うつ状態になることも少なくありません。
前述のとおり、最悪のケースでは自殺に至る危険もともなうのです。
しかし、思春期の頃こうした不安を抱く経験は多かれ少なかれ誰にでもあるでしょう。
ですから、本人に病気の知識がなくて誰にも相談していない、周囲の人も察知できない…という状態のまま見過ごされていることも珍しくありません。
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