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醜形恐怖症の治療
このような背景から、醜形恐怖症を抱えていても受診に至る人は多くないと指摘されています。
また、仮に受診に至っても、誰にも理解してもらえなかった辛い経験と他人の評価に過敏、という精神状態が治療の邪魔をすることも少なくありません。
ですから、相談や治療に当たっては、治療スタッフと患者との信頼関係の構築がまずは求められます。
そして、強迫観念と強迫行為とで強化されている悪循環の解消が治療上の目標になります。
治療には、認知行動療法など心理療法と、症状緩和のための薬物療法がおこなわれます。
薬物療法ではおもにSSRI(抗うつ剤の一種)が用いられ、うつ病よりも投与量が多くなる場合もあります。
醜形恐怖症の診療科は精神科です。
かつては「美容形成外科手術をしても満足しない状態が醜形恐怖症」といわれていた時代もあるといいます。
しかし、現在は美容外科手術後に身体へのこだわりが減って、通常の社会生活を送れるようになったという事例もあり、主治医の精神科医はある程度柔軟に対応するように指向されているとのことです。
醜形恐怖症の患者には、子どもの頃「可愛らしかった」人も少なくありません。
親から「可愛いね」「美しいね」といわれ自分のボディイメージが固定され、思春期に醜形恐怖症に進展していった例も少なくないと専門家はいいます。
長所が多く完璧な人ほど、些細な欠点が気になって仕方がないということなのでしょうか。
私たちは、周囲の人の理解が得られにくく一人で思い悩む…そうした病気がある、ということを知っておく必要があります。
【参考】『今日の精神疾患治療指針』より宮地英雄・富岡等「身体醜形障害」(医学書院 2013年)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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