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執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
統合失調症はおよそ100人に1人弱がかかる、とても身近な病気です。
人口の約1%と言われる有病率からすると、日本には100万人程度の患者がいると考えられますが、医療機関で統合失調症関連と診断された患者数は、2014年に約77万人という推計が出ています(厚労省「患者調査」)。
この差異は、発症しているのに治療をしていない人や周囲の目を気にして病気を隠している人(潜在患者)の数が影響していると想像できます。
喘息と同じくらい患者がいる、決して珍しくない統合失調症。
あらためて、どういった病気なのかご詳しくご説明しましょう。
統合失調症の経過
統合失調症は、次の4つの段階で経過します。
前駆期(前兆期)
発症の前触れのような症状がみられる時期
不眠・食欲不振・緊張・焦り、意欲や集中力の低下・抑うつ状態・昼夜逆転・引きこもりなどが前兆症状です。
ただし、これらの症状は他の病気にも見られるので、統合失調症と見極めるのは難しいです。
急性期
妄想・幻覚・興奮・昏迷・支離滅裂な会話・奇異な行動など「陽性症状」が1~2か月続きます。
病識(病気であることの自覚)はありません。
休息期(消耗期)
急性期の反動のように元気がなくなり、無気力・倦怠感・抑うつといった「陰性症状」が数か月続きます。
気力や体力が消耗し、脳の活動性も低くなります。
1日中眠っている、ボーっとしている、といったこともあります。
しかし、現実感が少しずつ戻ってくる時期でもあります。
回復期(安定期)
ゆっくりと安定感が戻ってくる時期。
ただし、陰性症状や認知機能(記憶力・判断力・注意力・実行力など)に障害が現れやすいことも指摘されています。
それでも、この時期になると社会復帰を目指してリハビリや社会活動などに参画できるようになります。
通常、数か月~数年単位で、発症前の状態まで回復可能と言いますが、回復後に再発したり、陰性症状や認知機能障害が慢性化したりする場合もあります。
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