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執筆:青井 梨花(助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
「慣れないことをしすぎた」「勉強や仕事で頭を使いすぎた」…などの状況で、比喩的に「知恵熱がでそう」という表現を用いることがあります。
しかし、なかには実際に発熱する人もいるようです。
本当に熱が出てしまうこの現象、身体のなかではいったい何が起こっているのでしょうか?
知恵熱とは?
「知恵熱」は医学的な病名ではありません。
もともとは、生後6ヵ月から1歳頃までの乳児にみられる急な発熱のうち、原因ははっきりしないけれど、たいした病気ではなさそうな症状の総称として「知恵熱」という言葉が用いられてきました。
この月齢の赤ちゃんは、おすわりやハイハイ、つかまり立ちなどの身体発達とともに精神発達も著しく、いろいろなことへの理解が進んできます。
この、いわゆる「知恵がつき始めるころ」に出る熱だからという理由で、昔の人はこう呼んでいたようです。
最近では、生後6ヶ月以降は母親からもらった免疫が下がる時期であることが、医学的に明らかになっています。
そのため、たとえば突発性発疹など、ウィルスや細菌などが原因の感染症による発熱が起こりやすいのです。
つまり、「知恵がつき始めることによる発熱は実際にはない」という結論になります。
このように、もともとは乳児の発熱を指していた「知恵熱」。
そこから転じて、頭を使い過ぎたあとなどに発熱した場合「知恵熱」という表現が使われるようになったのです。
しかし、実は感染症とはまったく別の仕組みで発熱が起こっていることがあります。
医学的には「心因性発熱」や「機能性高体温症」と呼ばれています。
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