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悪夢障害の定義
精神疾患や睡眠障害に関する専門機関は、『DSM-5(最新版「精神疾患の診断・統計マニュアル」米国精神医学会)』や『ICSD-3(国際睡眠障害分類第3版)』などで、悪夢障害を次のように規定しています。
長くて極度に不快な夢を繰り返し見る:夢の内容はよく覚えていて、生存や安全、身体の健全性を脅かすものである
不快な夢から起きたときは、速やかに覚醒し、時や場所、自分の身元など、現在の自分の状況を的確に把握している
悪夢からの覚醒によって生じる夢体験、または睡眠障害によって、次のような、臨床的に著しい苦痛、あるいは、社会的・職業的、もしくは他の重要な領域における機能の障害が少なくとも一つは生じている
・気分障害(悪夢により不安や不快さが持続)
・寝ることへの抵抗(悪夢を見るのではという恐怖や不安)
・認知障害(記憶力や集中力などの低下)
・家族や介護者などへの負の影響
・行動の問題(ベッドを避けたり、暗所恐怖など)
・日中の眠気
・疲れやすい(易疲労性)
・職業や教育機能の低下
・対人的社会的機能の低下
先述の西多医師によると、悪夢障害の生涯有病率は67~90%と高く、自殺未遂者の66%が中程度ないしは重度の悪夢を見ていたという報告もあるそうです。
そのことから、ストレスや精神疾患などが悪夢や悪夢障害と無縁ではないと結論づけています。
睡眠障害としての悪夢障害
睡眠障害として見ると、悪夢障害は「睡眠時随伴症群」のレム関連睡眠時随伴症群に属しています。
いわゆる眠りの浅い「レム睡眠時」とくに明け方に見るということ、中途覚醒が繰り返し起こり、再び寝つくのに時間がかかること(入眠困難)、さらには日中の生活に悪影響を与えて、昼間の眠気や認知力・行動力の低下を招くこと、などの特徴が挙げられます。
また、「睡眠時無呼吸症候群」の人も悪夢を見やすい傾向にあると指摘されています。
なかでも、酸素の通り道となる咽頭・喉頭部や気管などの気道が塞がれることで起こる「閉塞型睡眠時無呼吸症候群」に多いといわれています。
いびき・居眠り・メタボなどは、悪夢を引き起こすきっかけにもなり得るというわけです。
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