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養子縁組とは
他人との間に法律上の親子関係をつくるのが「養子縁組」です。
「普通養子縁組」と「特別養子縁組」とがあり、民法に規定されています。
成人、未成年を問わず、養親となるものと養子となるものとが契約を交わして成立するのが「普通養子縁組」(民法第792条以下)です。
これに対して、養子が児童の場合に適用されるのが「特別養子縁組」(民法817条の2以下)です。
それぞれ次のような特徴があります。
1. 普通養子縁組(養子が未成年の場合)
家庭裁判所の許可を必要とします。
また、養子が15歳未満の場合「代諾者(親権者か後見人)」が本人に代わって承諾をします。
そして、家庭裁判所の許可が下りれば、戸籍を届け出て、法的に養親の嫡出子になります。
ただし、実親の相続権や扶養の義務は残っています。15歳になると、本人の意思が尊重されます。
2. 特別養子縁組
養子縁組が確定すると、法的には子どもと実親との親子関係がなくなり、養親を唯一の親とするのが特別養子縁組です。
裁判所による特別養子の審判を必要とします。その際、次の成立要件と6か月の試験養育が考慮されます。
<成立要件>
・夫婦でともに縁組すること
・養親は25歳に達していなければならない。ただし、一方が25歳以上なら、他方は20歳以上であればよい
・養子となる者の年齢は6歳未満。ただし、それ以前に居をともにしていた場合は8歳未満
・父母の同意を必要とする。ただし、父母が同意を表示できない、父母による虐待、悪意の遺棄、そのほか養子の利益を著しく害する場合はこの限りではない
・父母の養育困難や不適当、そのほか特別の事情があって、子どもの利益のために必要と認められる場合
特別養子縁組制度が変わる!?
2019年1月現在、法制審議会の特別養子制度部会は、3月に政府が法案を国会に提出することを目標に、特別養子縁組制度の法改正を目指しています。
最も大きなポイントは、養子の年齢は原則6歳未満という成立要件を、原則15歳未満にまで引き上げる案です。
これによって小中学生に新たな特別養子縁組制度の適用が可能になります。
さらに15~17歳でも一定の条件下で縁組を認めることや、養親となる手続きの改定も盛り込まれているとのこと。
虐待やDV、あるいは貧困や病気といった、実親が子どもを養育できない家庭が増えたり深刻化したりしている現況がうかがい知れます。
言うまでもないことですが、子どもの健やかな成長と幸せを第一に考え、大人の事情で子どもを振り回すようなことにならないよう、社会全体として配慮し適切に支援することが求められます。
【参考】
・庄司順一/編著『Q&A里親養育を知るための基礎知識』(明石書店 2005年)
・社団法人家庭養護促進協会/編集『里親が知っておきたい36の知識』(編集者に同じ 2009年)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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