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執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
この春、多くの新入生や新社会人の方が新たな生活をスタートされたことと思います。
あるいは、家族の学校や仕事の変化に伴い、生活環境や生活リズムが変わったという方もいるでしょう。
そんな新生活に「慣れたかな」…と思った矢先、精神的な症状として現れるのが五月病です。
一般に五月病は、3月や4月から始まる不調の蓄積が関係しているといわれています。
今回は、春のメンタル不調や対策について考えていきましょう。
生活パターンの変化によるストレスの大きさ
冒頭でお伝えしたとおり、春は多くの方の生活が変化する季節といえます。
新しい環境に慣れる、新しいやり方を覚える、新しい人間関係を構築するなど、神経を使うことが増えると、そこには精神的ストレスも加わります。
それでは、どのくらいのストレスがかかるのでしょうか。
精神科医の夏目誠氏は、ライフイベントごとに受けるストレスの度合いを点数化した「ストレス評価表」を作成しています。
このストレス評価表では、ストレッサー(ストレスの原因となるもの)ごとに0~100点(基準は50点)でストレスの度合いを評価します。
勤労者を対象に実施したストレス評価表を参照すると、「会社を変わる(64点)」「転職(61点)」「人事異動(58点)」「配置転換(54点)」「抜擢を伴う配置転換(51点)」など、とりわけ春に多くみられるイベントも含まれています。
意外に思われるかもしれませんが、「会社を変わる(64点)」は、「自分の病気や怪我(62点)」や「300万円以上の借金(61点)」などよりもストレス度は高いのです。
また、ストレス評価表には「息子や娘が家を離れる(50点)」「子どもが新しい学校へ変わる(41点)」といった項目も含まれており、家族の変化もストレッサーとなり得ることがわかります。
さらに、こうしたストレスが複合して起こると、身体に不調をきたす可能性がでてきます。
この表によると、過去1年間に経験したストレスの合計得点が高いほうが、翌年に健康被害が現れるリスクが高くなっています(合計点数が300点以上でリスクは80%、150~299点でリスクは50%、150点未満でリスクは30%)。
このように、春はストレス要因となるライフイベントが多いのですが、必ずしもそれだけが春のメンタル不調の原因とはいえません。
なぜなら、春特有の気候も関係しているからです。
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