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執筆:種藤 潤(ライター)
昨年「ローカル・アベノミクス」として、政府による大都市から地方への高齢者の移住促進策が話題となったのは記憶に新しいところかもしれません。
あらためて、「シニア世代が暮らしやすい住環境」とはどういう環境なのでしょうか?
若い世代のそれとは明らかに異なる住環境の条件があり、それは実際にその立場になってみないとわからないことも多いようです。
ここでは、実際に住み替えをされたシニア世代の方にお話をうかがい、ポイントにされた条件を探ってみました。
若い世代でも、住まい探しにおいて参考になる条件かもしれませんよ。
もっとも大切だったのは「土地に高低差がない」こと
千葉県のとある新興住宅地に引っ越した60代の男性Aさんは、かつて神奈川県のとある高級住宅地で暮らしていました。
会社勤め時代に、終の住処として考えていた家でしたが、子どもたちの独立と仕事のリタイアを機に家を手放し、その売却資金で引っ越したのだそうです。
「前の家は高台にあったから海が目の前に見えて緑も多く、自然環境としては申し分なかったんですが、家を一歩出ると階段で。とにかく移動が大変になってきました。若い頃は良かったんですが、最近は夫婦そろって足腰が弱くなり、外出するのがおっくうになってきていたんです。そこで思い切って高低差のない今の場所に移り住んだんですよ」
高台にある住居は、周辺の街並を見下ろせることや、水害のリスクが少ないことなど、そのメリットはさまざま考えられますが、一方で家までは坂道をのぼらなければならず、アクセスの面では決して恵まれているとはいえないことが多いようです。
なかでも海辺の住宅地は、道幅が狭く自動車が乗り入れられない環境であることも多く、移動手段はもっぱら徒歩や自転車、というケースも見られます。
足腰が弱まり体力も低下し、かつ階段などで『転倒するリスク』が高まる高齢者にとっては、住居はもとより、生活圏内に高低差が多いことは、とくに大きなデメリットであるようです。
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