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執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
それまで糖尿病の診断を受けたことのない人でも、妊娠中に「妊娠糖尿病(Gestational Diabetes Mellitus、GDM)」を発症することがあります。
どのような病気なのか、また、お腹の赤ちゃんには影響があるのかどうか、詳しく解説していきましょう。
糖尿病と妊娠糖尿病の違い
日本糖尿病・妊娠学会によると、妊娠糖尿病とは「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常である」と定義されています(※1)。
そもそも糖尿病とは、食後に上昇する血糖値を下げる働きを持つインスリンが、作用を低下したり分泌量を減少することによって、糖の代謝に異常が起こり、血糖値の高い状態が続いてしまう病気です。
その原因は、1型糖尿病か、2型糖尿病かによっても異なりますが、多くの方がイメージするように、2型糖尿病の場合は、食事や運動不足などの生活習慣も発症に大きな影響を与えます。
一方、妊娠糖尿病の場合、その発症には妊娠中に分泌されるホルモンが関係しています。
妊娠すると、卵巣や胎盤からさまざまなホルモンが分泌されます。これらのホルモンは赤ちゃんが安定して育つために必要なものですが、中にはすい臓から出るインスリンの働きを抑制する作用を持つものがあります。
そのため、このようなホルモンが増える妊娠後期は、妊娠糖尿病になりやすいのです。
実際、妊婦さんの8人に1人(12.08%)は妊娠糖尿病になるとされています(※2)。
※1:一般社団法人 日本糖尿病・妊娠学会『妊娠中の糖代謝異常と診断基準(平成27年8月1日改訂)』(http://www.dm-net.co.jp/jsdp/information/024273.php)
※2:同上『糖尿病と妊娠に関するQ&A』(http://www.dm-net.co.jp/jsdp/qa/c/q01/)
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