(※記事中の語句のリンクは、その語句について詳しく解説したMocosuku姉妹サイトが開きます)
執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
認知症の早期発見や予防に注目が集まっています。
認知症の症状には、脳が壊れて生じる「中核症状」と、生活環境や体調が影響して起きる「行動・心理症状:BPSD」とがあります。とくに中核症状のひとつ「記憶障害」は、認知症の顕著な症状として知られています。
誰にでも起こりうる正常な「もの忘れ」と認知症特有の「病的なもの忘れ」とは、どのように違うのでしょうか。
ご一緒に詳しく見ていきましょう。
加齢による「もの忘れ」
子どもの場合は注意力や集中力が欠けていてもの忘れをする場合も多いでしょうが、注意力や集中力が一定の水準にある大人の場合、20代をピークに記憶力が減退して、もの忘れが多くなっていきます。
しかしこれは、いわば正常で生理的なもの忘れです。
たとえば、「人やモノの名前が出てこない」「メガネを置いた場所がわからなくなる」「何を食べたか忘れる」「約束をうっかり忘れる」「買い物に行って、うっかり買い忘れる」「日付や曜日を間違える」などが、よくあげられる例です。
加齢によるもの忘れの特徴は次のような点にあります。
・もの忘れを自覚していること:忘れたことはわかっている
・体験の一部を忘れる(例:食べたことは覚えているが、何を食べたかを忘れた)
・ヒントがあれば思い出す
・日常生活に大きな支障はない
・判断力は低下しない
・作り話はしない
・探し物は努力して見つけようとする
記憶には3つの局面があります。記銘(覚えること)、保持・蓄積(保存すること)、想起(思い出すこと)です。加齢によるもの忘れの場合、最後の「想起」の機能が低下するといわれています。
つまり、覚えてはいるが思い出せなくなる事態が生じます。いいかえると、ワーキングメモリーの機能低下が起こります。
ワーキングメモリーとは、思考や判断、討論や活動を行うときリアルタイムで取り出せる記憶情報の体系を指しています。
スポンサーリンク