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執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
全身に激しい痛みが慢性的に起こる「線維筋痛症」。
その痛みは「骨が裂けるような」「筋肉がひきつれるような」などと患者さんが形容するほどの耐え難さだといいます。
アメリカの人気歌手レディ・ガガさんもこの病気で活動を休止したことは有名です。
日本には潜在的な患者さんを含め約200万人いると推定され、決して珍しい病気ではありません。
今回は多くの患者さんが苦しんでいるこの線維筋痛症について、その実態をご説明したいと思います。
線維筋痛症とは
線維筋痛症の原因は、現状では明らかになっていませんが、脳の機能である痛みの信号を感知する働きに障害がでているのではないか、と考えられています。
これを車の運転に例えると、アクセルとブレーキの制御装置に異常がある状態です。
アクセルの踏み込みすぎやブレーキが効かないときは、やたらとスピードが出てしまいます。
そのことと同じように、痛みの信号の伝達路に誤作動が生じ、通常は痛みを感じない程度の刺激でも痛みを感じるような機能不全に陥るのではないかと考えられています。
また、痛みを抑えるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど、痛みを抑制する物質が機能していないという説もあります。
線維筋痛症は、一般的な検査では異常が認められません。
原因が見つからないのに、全身痛、疲労、関節痛、睡眠障害、頭痛、筋肉痛、しびれ、不安感、こわばり、抑うつなどの症状が現れます。
とりわけ強くでる症状は「激しい痛み」で、引き金となるのは、過労やケガ、事故や手術、妊娠や出産といった肉体的ストレスと、仕事や人間関係、離職や介護などの精神的ストレスであるとみなされています。
日本国内には潜在的に200万人の患者がいると推定されています。
しかし、治療を受けているのは5万人程度だそうです。
男女比は1:5~8と女性に多く、とくに30~50代の女性に多く見られます。
この年代は、家庭・仕事・日常生活において働き盛りですから、発症するとさまざまな困難をきたすことが想像されます。
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