「がん治療と仕事の両立」 利用できる制度と厳しい現実

Mocosuku(もこすく)
  • 「がん治療と仕事の両立」 利用できる制度と厳しい現実

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

「がん治療と仕事の両立」 利用できる制度と厳しい現実

公開日時

 
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
かつては「不治の病」といわれた「がん」
 
しかし、診断技術や治療方法の進歩によって、今では格段に生存率が向上しています。
 
入院日数も短くなり、仕事を持ちながら通院する人も多く、「がん」になったらすぐに離職しなければならない状況ではなくなってきました。
 
政府もこの両立支援に向けさまざまな支援をしています。
 
とはいえ、現状は安心して治療と就業の両立が果たせているわけでもありません。
 

 

がん治療と仕事の両立に関する現況

 
厚生労働省の調査によると、仕事を持ちながら「がん」で通院している患者は32万5000人いるといわれます。
 
しかし、2013年の世論調査(内閣府)では「現在の日本社会は“がん”の治療や検査のために2週間に一度程度、病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思うか」という質問に対して、26.1%が「そう思う」と答え、68.9%が「そう思わない」と回答しています。
 
また、がん患者を対象に行った調査(2004年)では、がんと診断された後、勤務者の34%が依願退職や解雇を余儀なくされ、自営業者の13%が廃業しているという結果も出ています。
 
あわせて同調査では、勤務者の48%は勤務継続、自営業者の68%は営業継続という結果も出ています。
 
つまり、がんを抱えながら仕事を続けていくことは大変困難で、両立を可能にするためには制度や支援体制の確立が喫緊の課題であると解釈できるでしょう。
 
【参考】厚生労働省『がん患者の就労や就労支援に関する現状』
 
 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【がん(その他)】新着記事

「がん治療と仕事の両立」 利用できる制度と厳しい現実

「がん治療と仕事の両立」 利用できる制度と厳しい現実

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ かつては「不治の病」といわれた「がん」。 しかし、診断技術や治療方法の進歩によって、今では格段に生存率が向上しています。 入院日...

2019/05/28 18:30掲載

”がん”のリスクも!? 「口の中のやけど」には適切な対処を

”がん”のリスクも!? 「口の中のやけど」には適切な対処を

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 熱い飲み物をはじめ、たとえば出来立ての小籠包や焼きたてのピザなど… 飲み物や食べ物による口のなかのやけどは、どなたも経験したことがある...

2019/04/23 18:30掲載

別名・みなしご病、「LCH:ランゲルハンス細胞組織球症」を知っていますか

別名・みなしご病、「LCH:ランゲルハンス細胞組織球症」を知っていますか

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 血管の外の組織にあり免疫の働きを担当する白血球の一種「組織球」。 この組織球の一つ「ランゲルハンス細胞」に異常をきたす病気が「ランゲル...

2019/04/12 18:30掲載

AYA世代(思春期・若年成人)に発症する「若年がん」の特性を知って!

AYA世代(思春期・若年成人)に発症する「若年がん」の特性を知って!

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 子どもから大人になっていく過程のAYA(アヤ)世代。 印象深いライフイベントが次々にめぐってくるこの時期に、「がん」という病気...

2019/03/22 18:30掲載

女性に多いがんのひとつ「大腸がん」…今から知っておくべき基礎知識

女性に多いがんのひとつ「大腸がん」…今から知っておくべき基礎知識

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 女性のがんによる死亡数第一位が「大腸がん」であることを知っていますか? ライフスタイルの変化などにともない、大腸がんは日本で増...

2019/01/23 18:30掲載

“がん家系” “若いと進行が速い”  「がん」の通説、本当はどうなの?

“がん家系” “若いと進行が速い” 「がん」の通説、本当はどうなの?

執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 日本人の死亡原因は男女ともに「がん」が第一位です。 「がん」にまつわる話題はニュースや雑誌などで日々取り上げられ事欠きません。...

2018/11/06 18:30掲載