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末期がんも介護保険 の対象だが…
・問題点1:末期がん患者は病状が急変することもあり、認定が下りる前に亡くなることも
この場合、暫定ケアプランで受けた介護サービスが全額自己負担となってしまう可能性があります(自治体によって対応が異なるようです)。
このような状況を踏まえ、厚生労働省老健局老人保健課は、平成22年4月30日に、各都道府県及び市区町村等介護保険主管課に事務連絡を出し、末期がん患者への迅速な暫定ケアプランの作成、迅速な要介護認定の実施を促していますが徹底されていないようです。
財団法人日本公衆衛生協会が実施した「末期がん患者の認定状況調査」(平成22年5月~10月)によると、保険者調査の結果では、申請から二次判定までの日数が20日を超えている保険者が86.6%、30日を超えている保険者も38.1%あります。認定調査については、申請後5日以内に実施している保険者が27.7%、6~10日で実施している保険者は50.2%です。
個別申請者の調査の結果では、申請から二次判定までの平均日数は28.9日で、19.4%の方が二次判定前に亡くなっています。推計では、申請後15日で約1割、25日で約2割、40日で約3割が亡くなっています。
・問題点2:要介護度認定が低く出やすい
要介護度は病気の重さではなく、介護にかかる時間で判断します。そのため、末期がん患者でも1人で歩行や食事ができれば要介護度は軽くなります(要支援1・2や要介護1)。
介護保険では特殊寝台(背中や足の部分が上げ下げできるベッド)、特殊寝台付属品(マットレスなど)、床ずれ防止用具や車いすなどもレンタルできますが、要支援1・2、要介護1の方は利用できないルールになっています。
例外として、末期がん患者に対しては、短期間のうちに日常的に起き上がりや寝返り等が困難となることが確実に見込まれる場合、市区町村の判断でレンタルが可能になっています(厚生労働省老健局振興課・老人保健課「末期がん等の方への福祉用具貸与の取扱い等について」)。
特殊寝台のレンタル料金は月1~2万円程度、特殊寝台付属品や床ずれ防止用具なども合わせれば月2~3万円程度かかります。介護保険が利用できれば原則1割負担なので大いに助かります。
介護保険の賢い利用法
・なるべく早い段階で市区町村に介護保険を申請しましょう
末期がん患者は病院を退院してから亡くなるまでの期間が短いので、入院中、退院を決めた時点で申請しましょう。また、同時に退院後の在宅医療を担ってくれる医者を見つけ、相談しておきましょう。
・ケアマネージャーに暫定ケアプランを作成してもらいましょう
そうすれば、認定前でも特殊寝台のレンタル、訪問介護、訪問入浴、訪問看護、デイケアなどのサービスが利用できます。
・認定を受けてから心身の状態が変化した場合、区分変更の申請をしましょう
随時申請が可能です。要介護度が高ければ利用限度額も増え、利用できるサービスの回数も増やせます。
・介護認定主治医意見書の診断名欄へ「末期がん」と明示してもらいましょう
介護認定の迅速化に資することになります。
がん患者が、自宅で最期を過ごしたいと考えた場合に十分なケアの体制を整えるためにも、家族の方は介護保険を知ることから始めませんか。
<執筆者プロフィール>
新美昌也(にいみ・まさや)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1986年、中央大学法学部法律学科卒業。2004年独立。得意分野はライフプランニング。
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