急性硬膜化血腫の危険性 …死に至るリスクの高い疾病

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急性硬膜化血腫の危険性 …死に至るリスクの高い疾病

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急性硬膜化血腫 は難しい治療

血腫を完全に除去し、出血源を確認して止血するためには、全身麻酔で開頭して血腫を除去するのが確実ですが、それでは間に合わない場合や非常に重篤状態の場合は、穿頭や小開頭(小さな穴をあけるだけの手術)で血腫除去を試みる場合もあり、その後、全身麻酔下で開頭手術に移行することもあります。
頭部外傷、とくに重症脳損傷では、頭蓋内に多くの損傷を受けていることもあるため、手術後に新たな頭蓋内出血が出現したり、増大することもあります。
CTなどによる厳重な観察が必要です。
また、いったん生じた脳損傷は、脳のむくみや出血など、次の脳損傷へと進展していきます。この二次性脳損傷を抑えられなければ、最終的には脳死へと至ってしまいます。
急性硬膜下血腫の死亡率は65%、日常生活や社会生活に復帰できた症例は、わずか18%といわれています。
急性硬膜下血腫自体が重度の脳損傷ですから、復帰が難しいのは当然かもしれませんが、これは、急激な悪化に対する迅速な対処が極めて困難だからです。
いったん機能不全になった脳を回復させる有効な治療法はありません。

 

慢性の場合

急性とは全く異なる慢性硬膜下血腫の場合は、頭部外傷直後は、無症状か頭痛程度の症状しかありません。そのせいか、病院を受診しない人がほとんどです。このあと通常は、3週間~数か月かけて血腫が作られ、頭蓋骨の内圧が高まり、頭痛や嘔気・嘔吐が現れます。
急性のように突然の事故など、発症のきっかけがわかりにくいですが、術後の見通しは、急性のように悪くないので、早期対応が重要です。
執筆者:南部洋子(看護師)
監修者:坂本 忍(医師)

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