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スキニージーンズの圧迫に注意 : 圧迫の仕方によって血流は促進されたり、阻害されたりする
「脚スッキリ」や「筋肉のサポートを高め、疲労感を軽減」などの効果をうたった下半身用の衣類の中には、医療用の弾性ストッキングとは異なり、下肢の血流に悪影響を与えるものがあると報告されています。
血流が促進されるか阻害されるかは、圧迫の仕方によって異なります。医療用の弾性ストッキングは、足首の衣類圧が最も高くなるように設計されています。そして、太ももに向けて衣類圧は次第に低くなり、臀部・腹部の衣類圧も低くなっています。これが血流の促進を目的とした医療用の弾性ストッキングの構造です。
一方、脚の引き締めや運動効果をうたった、医療用ではない下半身用衣類の多くは、足首の衣類圧が医療用よりも低く、反対に、体の上部に向かうにつれて医療用と同等か、それ以上の高さの衣類圧が認められたといいます。つまり、足首の衣類圧がもっとも高く、上部にいくにつれて低くなるという、血流促進の構造が崩れているのです。さらに、椅子に座る、しゃがむといった姿勢の変化によって、膝やふくらはぎの衣類圧が高くなったといいます。
消費者へのアドバイスとして次のように語られています。
加圧を利用したスパッツは、部位によって医療用の弾性ストッキングと同等以上の衣類圧のものがあった。特に「しゃがむ」姿勢をしたときに膝やふくらはぎの衣類圧が高くなり、加圧を利用したスパッツを着用することで静脈血が停滞しやすくなる可能性があった。同じ姿勢を続けない等、使い方には注意したほうが良い。
スキニージーンズの圧迫に注意 : スキニージーンズの注意点
国民生活センターの報告は、今回の、スキニージーンズが危険だとする英医学誌論文と同じ問題に向き合っていました。その観点は、スキニージーンズの危険性を理解するのにも応用できます。
次の条件で、スキニージーンズの危険性は高まるでしょう。
・足首の衣類圧が低い
・ふくらはぎ、太ももの衣類圧が高い
・臀部、腹部の衣類圧が高い
・椅子に座る、しゃがむといった姿勢を長時間とる
残念ながらスキニージーンズは足首の衣類圧がもっとも高くなるようにはデザインされていないでしょう。細いシルエットを求めるほど臀部の圧迫も強くなり、ベルトをしめれば腹部の圧迫も強まります。衣類による下半身の圧迫は健康増進に役立つものもありますが、反対に妨げるものもあります。それと気づかずに悪条件をそろえてしまわないように注意しましょう。
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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