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悪化するとどうなるの?
脱臼をしたら、放置せずにすぐに病院へ行きましょう。治療が遅れると全身麻酔の手術が必要になる場合があります。また、一度脱臼してしまうと「脱臼ぐせ」がつき、その後も繰り返し脱臼になることも。外傷に関係なく脱臼を繰り返すことを「非外傷性不安症」と呼び、関節のゆるい女性に多くみられます。
「脱臼ぐせ」がついたりリハビリで改善されないと診断されたりした場合は、次のような手術が必要です。
肩関節鏡手術
通常、関節鏡手術は全身麻酔や局部麻酔をかけて行います。肩の手術後は痛みが強いため、「斜角筋間ブロック」と呼ばれる痛み止めを用いた方法を使います。皮膚に数か所、1cm以内の切開をし、直径5mmの内視鏡を挿入します。内視鏡を覗きながら、損傷した関節唇や靭帯を固定して修復する方法です。
術後は2~3週間ほど三角布などで固定し、ゆっくりと肩を動かす訓練を行っていきます。軽作業が可能になるのは2~3か月、スポーツへの復帰には6か月必要です。
直視下手術
術後の再脱臼が少ないと言われているのが、従来から行われてきた直視下手術です。とはいえ、メスで切開して行う手術のため、傷跡が残りやすくなります。また、肘を曲げて前腕を開く動きがとりにくく、かたまってしまうことも。現代では後遺症の少ない肩関節鏡手術のほうが一般的な手術法だと言われています。
脱臼ぐせを防ぐにはどうすればいい?
通常、脱臼は2週間ほど固定して安静にすれば日常生活に支障をきたさない程度には回復します。ただ、一度脱臼をすると「脱臼ぐせ」がついてしまい、完治するのは難しいのも特徴です。
「脱臼ぐせ」を防ぐには、はじめて脱臼した後の治療が肝心です。まず、脱臼箇所をよく固定し、医師の指導のもと損傷した関節を修復します。そのあと肩の関節周りのインナーマッスルをきたえ、腱板を強化することが大切です。日常生活に問題がないからといってリハビリを怠っては脱臼ぐせがついてしまう可能性があります。きちんとリハビリをすることが、再発防止を防ぐ一番の予防法です。
監修:岡本良平(医師)
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