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戸籍変更の条件 には性別適合手術がある
戸籍の変更条件の内、性別適合手術に関係する部分を確認しておきましょう。
・生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
男性の場合は睾丸を摘出し、ホルモンの分泌や生殖能力を欠いていることが条件となります。女性の場合は卵巣・子宮を摘出し、同様にホルモンの分泌や生殖能力を欠いていることが条件となります。
・その身体について他の性別の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
男性が戸籍を女性に変更した場合、無理なく社会生活を送れるように女性としての身体的な特徴を備えていることが求められます。例えば、女性として生活するとき、男性的特徴を有したままだったとしたら公衆浴場などでトラブルが生じるでしょう。そのため性器の外観についても医師が診察し、診断書に記載します。
これらの条件を満たすには性別適合手術が必要になります。戸籍上の性別変更は性別適合手術を前提としているといえます。
戸籍変更の条件 :精神科医の診断からスタート
性別適合手術は精神科・産婦人科・泌尿器科・形成外科の連携によって行われます。最初に受診するのは精神科です。面接や心理検査、精神科領域の治療を行い、精神的な安定を確認します。性同一性障害の診断は2名以上の精神科医によって、誤りのないように慎重に行われます。精神科医による診断確定と身体的治療の承認を受けることができた場合、ホルモン治療の後に性別適合手術を行います。戸籍変更の手続きは手術を終えた後になります。
性別適合手術を受けることを明らかにしたKABA.ちゃんは、同時に戸籍の変更を希望されていました。ここで見たように、この2つは別々のことがらではなく密接に結びついています。性別適合手術は戸籍上の性別変更の条件であり、また、精神科医による適切な診断はこの性別適合手術の条件となっています。性別適合手術において直接手術を行うわけではない精神科医は、いわばゲートキーパーとして重要な役割を担っていることがわかります。
<参考>
ジェンダーセンター(岡山大学病院)
http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/gendercenter.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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