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あぶない!傘の「横持ち」
今回の事件に似た事例は過去にも発生していて、傘を安易に振り回すのは、重大な事故につながりかねないということを私たちは改めて肝に銘じるべきでしょう。
一方で傘の危険性は、振り回すときばかりとは限りません。
その典型例が、傘の「横持ち」。
「横持ち」とは、閉じた傘の直線部分を、げんこつで握るように持つことで、傘の先端が後方に向いて水平に近い状態になるため、後ろの人に思わぬ危険を及ぼしかねない持ち方です。「水平持ち」という言い方もあります。
特に階段や坂道など、段差や高低差がある場所では、横持ちの傘の先端が後ろの人の目の高さに達するケースも考えられます。
実際に我が子が被害にあい、その危険性を強く訴えている人もいます。
ライターのシノヅカヨーコさんは2015年5月、いっしょに駅の階段を上っていた娘が、前を歩く女性の傘の先端で顔面を突かれ、目の下に切り傷と軽い打撲を負いました。
気がついて振り返った女性に対しシノヅカさんは、「あなたの傘が、刺さったんですよ!」と叫びましたが、舌打ちをしてそのまま立ち去ったといいます。
一歩間違えば大けがの可能性もあっただけに、ネット上などで大きな反響が寄せられています。
東京都も2013年6月、「降雨時における身の回りの危険」について都民3千人を対象に調査を実施したところ、4人に1人が、階段や人混みで前の人が持つ傘にケガを負わされた、もしくは負わされそうになったと回答しています。
何気なくやってしまう
傘の持ち方によっては危険性がある一方で、危険な持ち方をしている人も、ほとんどが悪意はなく、何気なくやっていたり、単に持ちやすい方法で持っていただけというケースが多いようです。
そこで意識喚起につながる草の根の動きも出てきています。
ライトノベル作家の皮算積人さんは2014年、傘の「横持ち」の危険性を喚起するポスターをネット上に公開。
「キミの傘、後ろの人の目の高さ。」というコピーを入れたこのポスターは反響を集め、ツイッターで数万回もリツイートされています。
こうした活動の効果が浸透し、危険な傘の持ち方をする人が少しでも減っていくことが期待されますが、何より大切なのは、自分のことだけでなく、少し周囲を気にしたり、思いやる心のゆとり。
自分のイライラや余裕のなさが、傘の身勝手な持ち方につながり、さらに周りの人をイライラさせる。
そんな悪循環をみんなで断ち切って、安全で心地よい場所や空間を増やしていきたいですね。
<参考>
http://www.j-cast.com/2015/05/08234768.html
<監修>
坂本 忍(医学博士 公認スポーツドクター(日本オリンピック委員会強化スタッフ))
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