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肩の痛みと水泳の関係 について見てみましょう。
8月7日、水泳世界選手権(ロシア・カザニ)の女子200メートル平泳ぎで渡部香生子選手が金メダルを獲得。渡部選手は200メートル個人メドレーでも銀メダルを獲得しており、今大会2個目のメダルとなりました。
世界の頂点に立つ選手は、競技生活の中で大きな壁を何度も乗り越えています。渡部選手の場合、非常に早い段階で大きな試練を経験しています。幼稚園から水泳を始めた渡部選手は、小学生ですでに自由形とバタフライで全国大会に出場する実力をつけていました。しかし、1日1万メートル泳ぐこともあったという練習量の多さに肩が悲鳴を上げ、全く練習ができない状態にまで悪化しました。典型的なオーバーユース(使い過ぎ)といえます。
渡部選手はコーチの的確な判断により、平泳ぎに切り替えることで故障の危機を乗り越え、新たな才能を開花させました。クロールやバタフライに比べ、平泳ぎは肩関節の可動域が小さく、肩への負担を抑えることができたのです。
スポーツにおいて、オーバーユースによる故障は決して珍しいものではありません。上肢では野球肩、テニス肘、ゴルフ肘などがあります。また、下肢では膝のオズグッド-シュラッター病、ジャンパー膝、脛骨の下方1/3に痛みが発生するシンスプリントなどがあります。競技によって故障しやすい部位は異なります。水泳においては、クロールやバタフライの泳ぎ込みで起きやすい「水泳肩」があります。
肩の痛みと水泳の関係 :水泳肩とは?
クロールやバタフライのストロークを思い浮かべてみましょう。腕の軌道に注目すると、投げる動作に似ていることに気がつきます。野球選手がボールの投げ過ぎで肩を痛めることがありますが、同様のリスクは水泳選手にもあります。
クロールとバタフライの推進力は腕の力に大きく依存しています。強い推進力を得るために、肩関節を最大限に動かし、その動作を反復するという特徴があります。肩関節の使い過ぎは、肩の腱と肩甲骨の衝突による炎症を引き起こします。炎症が起きると、腱は少しずつ厚みを増していき、ストローク時の摩擦がますます大きくなって、肩に強い痛みが生じます。これを「水泳肩」といいます。
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