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水泳肩への対処法は?
症状が軽い場合は、練習前のストレッチを念入りに行い、練習後にアイシングを施します。できるだけ負担のかからないフォームへの変更も有効です。例えば、腕を頭上に伸ばし、手が再び水の中に入る場面では肩の関節は内側に回転しつつ前方に伸ばされます。このとき肩甲骨の靭帯と上腕二頭筋の腱などが衝突し、摩擦が生じると考えられます。手の親指側から入水すると肩の関節の内側への回転が強まるので、中指から入水するなど、回転を抑えたフォーム作りを行うことがあります。
ただし、競技に勝つためには、速く泳ぐためのフォーム作りこそが重要で、肩への負担軽減とのバランスをどうとるかは難しい問題といえます。渡部選手は、肩への負担が少なくて済む平泳ぎに種目を変更しました。種目を変えるというのは大きな決断といえますが、クロールやバタフライを肩をかばいながら続けた場合に比べ、勝つためのフォーム作りを率直に追及できるというメリットがあったと思われます。
いずれにしても、水泳で肩に痛みが生じたら医師の診断を受けることが大切です。肩の安定性を保つ腱板が損傷している場合は手術も選択肢になります。
水泳肩のリスクは腕の力への依存が大きい程高くなり、女性よりも男性、長距離よりも短距離の選手に多いといいます。また、柔軟性も大きく影響します。そのため、例えば中高年の男性が、昔に比べて肩関節の柔軟性が落ちているにも関わらず、力まかせにクロールやバタフライで泳ぐ、というのは良くないでしょう。趣味で水泳を楽しむ人は、弱い力で始めて、関節の可動域を広げながら少しずつ慣らしていき、肩への負担を抑えるようにしましょう。
<参考>
渡部香生子200平で金メダル リオ五輪内定(日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/sports/news/1519643.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医学博士)
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