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騒音の健康リスク :夜間騒音の場合
夜間の騒音による健康リスクは、騒音性難聴よりもはるかに小さな騒音でも生じます。欧州WHO夜間騒音ガイドライン(2009)は、夜間の騒音が健康に与える影響について、次のような基準を示しています。
30デシベル以下:
実質的な影響は認められず、夜間騒音の影響が生じないレベル。
30~40デシベル:
睡眠に対して多くの影響が生じる。しかし、影響の程度はそれほど大きくない。40デシベルは悪影響が生じる下限のレベルといえる。
40~55デシベル:
健康への悪影響が生じるため、夜間騒音に適応するために生活を変える必要がある。騒音への感受性の高い人は重度の影響を受ける。
55デシベル以上:
高頻度で健康への悪影響が生じる。相当数の住民が不快感や睡眠妨害を訴える。心疾患リスクが増加する可能性も指摘されている。
このように、夜間騒音は比較的小さなものでも健康リスクにつながります。例えば、ファミレスの店内は約60デシベルなので、夜間にこれに相当する騒音を被ると睡眠妨害や心疾患リスクが増加する危険があります。書店の店内は約50デシベルです。このレベルでも騒音に対する感受性の高い人にとっては大きなリスクになります。
盆踊りの音楽に伴う健康リスクとしては、盆踊りの参加者のものと、周辺住民のものとがあります。前者については、スピーカー付近の音量が、2時間以上で騒音性難聴のリスクが高まる91デシベルを超える可能性があるので念のため注意しておきましょう。次に後者についてですが、盆踊り会場の近隣住民は、夜間騒音の健康リスクが生じる55デシベル以上の騒音を被るでしょう。その意味では、盆踊りが一定の騒音被害を伴うのは事実。ただ、頻繁にあるイベントではないので気にしないという人も多いでしょう。もちろん、その日を楽しみにしている人も沢山います。また、何らかの事情で騒音は本当に困るという人もいるでしょう。盆踊りのにぎわいを風物詩ととらえるか騒音ととらえるか。文化、健康、生活に対する考え方の違いによって答えはさまざまです。あなたはどのように考えますか?
<参考>
イヤホン耳に無音で盆踊り…「不気味」でも「踊りに没頭できる」(産経新聞)
http://www.sankei.com/premium/news/150816/prm1508160027-n1.html
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
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