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爪先立ちでかかとが痛い…三角骨障害の可能性も
かかとに痛みが生じる原因には、捻挫やアキレス腱の損傷などがありますが、瀬戸選手と同様に三角骨障害である可能性もあります。特に、爪先立ちの姿勢でかかとに痛みが出る場合は、三角骨障害が疑われます。
クラシックバレーで爪先立ちの姿勢をキープする動きや、サッカーで足の甲を使ってボールを蹴る動きは、痛みの出やすい典型的な動作です。水泳の場合は、特にクロールやバタフライで足の甲を使って水を強く押します。瀬戸選手の種目である個人メドレーはクロール、バタフライを含み、三角骨障害による痛みを生じやすい競技特性を持っているといえます。
三角骨障害の場合は、レントゲンやCT、MRIなどの検査によって、痛みの原因となる三角骨を確認することができます。
三角骨によるかかとの痛み :第一選択は保存療法
三角骨障害の治療では基本的に保存療法が選択されます。手術などは行わず、痛みが強くなる爪先立ちの姿勢をとらないようにします。テーピングを使って足首の可動域を制限し、足首が伸びすぎないようにして治癒するのを待ちます。
なかには外科手術で三角骨を取り除く場合もあります。アスリートの場合、手術を行うと、術後のリハビリで一定期間競技から離れなければならないというデメリットが生じます。しかし、三角骨がある以上、痛みが再発する可能性があり、それが大事な時期に重なったら一大事です。また、痛みが原因で理想的なフォームが維持できず、パフォーマンスが低下する心配もあります。瀬戸選手のように、痛みのある側だけでなく、痛みの無い側も合わせて手術し、不安材料を無くすという選択肢もあります。瀬戸選手は術後3週間でキック練習ができる見通しということです。
三角骨障害で手術が必要になることは稀ですが、何しろ痛みの原因となる三角骨は多くの人が持っている骨です。つま先立ちの姿勢で足首の後ろ側が痛い、捻挫をしてから治りが遅い、足首の後ろに突起が確認できる、といった三角骨障害が疑われる症状があれば、一度医療機関を受診しておくのがよいでしょう。
<参考>
競泳・瀬戸が9・15両かかと手術へ(デイリースポーツ)
https://www.daily.co.jp/general/2015/08/21/0008322678.shtml
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
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