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障害年金受給までの期間 :受給までに1年以上かかったケースも
前々回で紹介したSさん(仮名・31歳男性)は、障害年金の申請を思い立ってから、実際に年金を受給できるまでに1年以上もかかりました。
Sさんの場合は、初診日に厚生年金に加入していなかったことから、「障害厚生年金」を申請することができず、「障害基礎年金」の申請に同意して診断書を作成してくれる医師に出会うまで、役所に書類を提出することができなかったのです。
Sさんは「うつ」の症状が改善しないことと、障害年金の申請に同意してくれる医師が見つからないことを理由に複数のクリニックを転々としていました。
4つ目に受診した医療機関でようやく、院長が「うつ」で思うように働けないSさんの立場に理解を示し、Sさんに「ウソは書けないが、一番重いときの症状を基準に診断書を作成する」と言ってくれたのです。おかげで、Sさんは「障害基礎年金」を受給できるようになりました。
しかし、そこに至るまでには、複数の医師に診断書の作成を断られたり、年金保険事務所で門前払いされたり、手続きの代行を依頼した社労士と医師が対立してしまったりと、さまざまな苦労があったと言います。
また、もともと生真面目でこだわりの強い性格のSさんは、一時期は「障害年金」のことにすっかり心がとらわれてしまい、ただでさえ「うつ」の精神状態が、さらに不安定になってしまったといいます。
障害年金の申請から受給までは「3か月程度」といわれているものの、Sさんのケースのように申請がスムーズにいかない場合は、手続きが長期にわたってしまう場合もあります。そのため、障害年金に関しては、「申請してもすぐにお金が入るわけではない」ということを事前に納得しておく必要があるといえるでしょう。
(【障害年金:その4】につづく)
※文中のエピソードは実話をもとに構成していますが、個人情報の観点から実在の人物・団体の明記を避けています。
<監修者プロフィール>
石村衛(いしむら・まもる)
FP事務所:ライフパートナーオフィス代表ファイナンシャルプランニング1級技能士(CFP) 東洋大学卒業 メーカー勤務の後、FP事務所:ライフパートナーオフィスを横浜市戸塚区に開設。地域に根ざしたFP活動を志向し、住宅ローン、不動産・証券投資、保険、貯蓄・など一般家庭のお金にまつわる様々なアドバイスを行っている。 お金に係わる出前授業を小・中・高校で実施。また、高等学校の保護者会などで進学費用や奨学金・教育ローンの講演多数。東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザーとして活動中。
<執筆者プロフィール>
井澤佑治(いざわ・ゆうじ) 舞踏家/ダンサー。通販メーカーのコピーライターとして、健康食品などの広告を数多く手がけたのちに、ダンサーとして独立。国内外で公演やワークショップ活動を展開しつつ、身体操作や食事療法などさまざまな心身の健康法を探究する。現在はダンスを切り口に、高齢者への体操指導、障がいや精神疾患を持つ人を対象としたセラピー、発達障害児の療育、LGBTの支援などにも携わっている。
<参考>
障害年金について 日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3225
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