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鼠径ヘルニアのタイプと治療法 :緊急手術が必要な嵌頓ヘルニア
初期の鼠径ヘルニアが痛みを伴うことはまれで、ちょっとした違和感を感じる程度です。下腹部にわずかな膨らみが生じますが、指で押せばもとに戻ります。この状態のまま長期間悪化しないこともありますが、膨らみが大きくなったり、戻りにくくなったりするケースもあります。悪化するかどうかの予測は困難です。
もし悪化してしまった場合、嵌頓ヘルニアという危険な状態になってしまうことがあります。嵌頓とは飛び出してしまった腸の付け根が締め付けられ、もとに戻らなくなった状態のこと。血流が途絶えて腸の組織が壊死する、腸の中を食べ物が上手く流れず腸閉塞を起こす、といった危険があります。嵌頓ヘルニアは命にかかわることもあり、緊急手術が必要です。
鼠径ヘルニアのタイプと治療法 :鼠径ヘルニアの治療法
鼠径ヘルニアには、次のような治療法があります。
・メッシュプラグ法…ポリプロピレン製のプラグを筋膜の弱い部分に入れる、日本で最も普及している方
・クーゲル法…腹膜と筋肉の間にメッシュを入れ、腹圧を利用してメッシュを安定させる方法
・腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復法…腹腔鏡という医療機器を用い、5~10mm程度の小さな穴を3か所開けて手術を行い、傷口が目立ちにくく美容面にも優れた方法
鼠径ヘルニアは初めの内はあまり気になりませんが、悪化すると痛みを伴い、日常生活に不自由を感じることも多くなります。出産後の女性の場合、特に嵌頓ヘルニアに注意が必要です。鼠径ヘルニアが自然に治癒することはありません。鼠径部の膨らみや違和感に気づいたら、手術をするかどうかを含め、医師に相談するとよいでしょう。
執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)
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