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仲が良くない親子だからこそ「遠距離介護」
実は「遠距離介護」にはメリットもあります。それは、仲が良くない親子が無理に顔を合わせずに介護ができる、ということです。
「親の介護を子どもがするのは当たり前」と言われますが、世の中の親子がすべて良好な関係ではなく、なかには在宅介護を経て親子関係が悪くなり、結果、施設介護にした、という例もあります。
「遠距離介護」はそういう親子が一定の距離を保ちながら介護ができる道でもある、と頭に入れておくのもいいでしょう。
もちろん離れているとはいえ、親が介護されている訳ですから、日々何かしらの変化や問題が起き、その現状把握や連絡確認、次の行動への判断など、介護に割かれる時間も労力も少なくはなく、「遠距離介護」ならではの苦労や悩みがあるのもまた事実です。
介護離職のリスクは多種多様
冒頭でも触れましたが、遠距離に暮らす親の介護に直面したときに考えるのが、「介護離職」です。そのリスクについて整理していきましょう。
「介護離職」とは「介護をするための時間を確保するために職を離れる」ことです。離職先が正社員雇用であった場合、よほどの問題がない限り中長期的な収入は保障され、社会保障なども充実していたわけです。それを多少の退職金と引き換えに、ほぼ全て失うということになります。
収入を確保するために、再びパートやアルバイトの仕事をはじめる場合もありますが、正社員雇用に比べ収入も少なく、雇用の安定性もありません。
いずれにしても、収入が大幅に減少し、蓄えがなければ不安定化することになります。
そして介護を経験した人、現場を知る人がほぼ間違いなく口にするのが「介護にはお金がかかる」という実態です。「介護離職」のケースの大半は、自宅で介護をする「在宅介護」になるわけですが、訪問介護などの介護費、おむつなどの日用品にかかる費用、食費などが、これまでの生活に加わります。
しかも介護には終わりが見えません。いつまで続くか分からない介護において、収入は少しでも多い方がいいのは明らか。そのなかで収入源を絶つリスクは、非常に大きいことがわかるでしょう。
ならば「また正社員雇用を探す」と言っても、特に中高年で離職する場合など、その年齢で正社員で雇用されるのは非常に厳しいでしょう。一度やめてから後戻りできないのも、「介護離職」につきまとう大きなリスクと言えます。
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