高齢者だけとは限らない!「骨粗鬆症」の問題

Mocosuku(もこすく)
  • 高齢者だけとは限らない!「骨粗鬆症」の問題

  • Mocosuku(もこすく)
医療資格者や専門家だけの記事を配信

高齢者だけとは限らない!「骨粗鬆症」の問題

公開日時

 

骨粗鬆症は女性がかかりやすい理由:骨粗鬆症と閉経

 
骨粗鬆症は、50代以上の女性が発症しやすい病気です。
 
それは、加齢による骨強度の低下に加えて、閉経が大きく影響しているためです。
 
女性は閉経前後になると、次第に女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」の分泌量が減少します。
 
エストロゲンは骨吸収を抑制し、骨形成を促す働きがあるため、閉経によるエストロゲンの減少は骨密度を低下させ、骨粗鬆症を引き起こす誘因となるのです。
 
ここまでご説明してきたように、骨粗鬆症は50代以上の女性に発症しやすい病気です。
 
しかし、中には若い世代でも発症することがあります。それはなぜなのでしょう?

 
 

若い世代でも発症する理由って?

 
骨粗鬆症は、加齢や閉経が発症に大きく影響しているため、若い世代の発症率は高くありません。
 
しかし、生活習慣が乱れていると、若い世代でも骨粗鬆症を発症することがあります。
 
具体的に、どんな生活習慣が影響するのかを見ていきましょう。
 
 
・食生活が乱れている
骨の形成に必要なカルシウムが不足していると、骨粗鬆症を引き起こす要因となります。
 
また塩分や糖分、アルコール、カフェインの摂りすぎは、カルシウムを排泄する働きを高め、カルシウム不足を招きます。
 
さらに、ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、ビタミンD不足も発症の要因となります。
 
 

・日光を浴びていない
ビタミンDは、日光を浴びることで活性化し、充分に機能することがわかっています。そのため、ビタミンDを摂取することに加えて、日中、太陽の光を浴びる習慣も重要です。
 
 

・運動不足である
運動は、筋肉だけでなく、骨強度を高める上でも重要な役割を果たしています。そのため、運動不足も骨粗鬆症の発症と無縁ではありません。
 
 

・喫煙の習慣がある
タバコには胃腸の働きを弱め、カルシウムを吸収しにくくします。
 
 

・過度なストレスにさらされている
過度なストレスは、腸の働きを弱め、カルシウムの吸収を悪くします。
 
 

・必要以上のダイエットを行っている(摂食障害)
摂食障害のひとつである拒食症の症状として、骨粗鬆症が挙げられます。
 
これは、過度なダイエットによって栄養不足の状態が続くと骨量が減少し、骨粗鬆症を引き起こすためです。
 
さらに女性の場合、体重が著しく減少することでエストロゲンが減少するため、骨密度が減少し、骨粗鬆症を引き起こすことがあります。
 
 

以上の生活習慣をみると、若い世代にありがちな習慣ばかりですね。

 
骨粗鬆症を発症すると、ちょっと転倒しただけでも骨折してしまい、日常生活に支障をきたしてしまいます。
 
「自分は若いから関係ない」と思っている方も、普段の生活を見直してみましょう。
 
【参考】
・日本骨代謝学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015)」http://jsbmr.umin.jp/pdf/GL2015.pdf
・日本医師会「健康の森」https://www.med.or.jp/chishiki/kotu/002.html
 
 
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 

スポンサーリンク

先週よく読まれた記事

ヨガはどうしてカラダに良いの? 医学的に掘り下げてみよう

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 昨今のヨガブームにより、趣味としてヨガを楽しまれている方も多いのではないでしょうか。 「なんとなく健康に良さそう」というイメージの強いヨ...

不眠症ならぬ「過眠症」をご存じですか? 症状や原因とは

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ あなたは自分の睡眠に満足していますか? 睡眠の悩みと聞くと、多くの方が思い浮かべるのは「不眠症」でしょう。 しかし、「過眠症」で悩んでい...

朝起きたら首が… やっかいな「寝違え」の原因と治し方

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 「朝起きたら首が痛い・・・寝違えたかも!?」 このような経験、どなたも一度はあるでしょう。 そもそも寝違えはどうして...

冷え対策に、「温活」をはじめよう!

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 婚活、妊活、終活など、最近は「〇活」というコトバがよく使われています。 「温活」もそのうちのひとつで、今や書籍やインターネットなどあちこ...

「失神」と「睡眠」の違い どこに注目すればいい?

執筆:南部 洋子(看護師) 監修:坂本 忍(医師、公認スポーツドクター、日本オリンピック委員会強化スタッフ) 「失神」と「睡眠」の違い、見た目ではなにがどう違うのか、わかりませんよね。 例えば、飲み会...

つった! 寝ていたら足がつるのはどうして?対処法は?

執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士) 夜寝ている時、突然足がつってしまい、激痛で目が覚めた! そんな経験をされた方、いらっしゃいませんか? 突然起こる足のつり。どうしてこのようなことが起...

働く人に増えている「適応障害」 原因となる3つのパターン

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター) 医療監修:株式会社とらうべ 環境にうまくなじめないことから、落ち込んだり、意欲や自信を喪失したり、イライラして怒りっぽくなったり、体調面が悪くなったり、場合...

【骨粗しょう症】新着記事

30代からは「筋肉の質」 今日からロコモ対策はじめませんか?

30代からは「筋肉の質」 今日からロコモ対策はじめませんか?

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ 現在日本は、誰も経験したことがない超高齢社会に突入しています。 誰だって年はとるものです。 ほとんどの人は最...

2018/02/08 18:30掲載

『骨折するとその骨は強くなる』  これ本当?

『骨折するとその骨は強くなる』 これ本当?

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師) 医療監修:株式会社とらうべ “骨を折ると、その部分が強くなる…” そんな話を耳にしたことはありませんか。 しかし、本当にそうなのでしょう...

2018/01/18 18:30掲載

高齢者だけとは限らない!「骨粗鬆症」の問題

高齢者だけとは限らない!「骨粗鬆症」の問題

執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師) 医療監修:株式会社とらうべ 高齢者がかかる病気というイメージが強い「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」。 骨粗鬆症は加齢によって発症率が高くなる病気ですが、実は、若...

2017/02/14 18:30掲載