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LOH症候群の原因:テストステロンの影響
男性ホルモン「テストステロン」がLOH症候群に影響を与えています。
男性の場合、精巣でテストステロンは作られて分泌されます。
性欲を高める、身体をたくましくする、ひげを生やす、決断力をつける、挑戦意欲を高めるなど、心身を活性化して「男らしさ」を発揮させるはたらきをするのがテストステロンです。
また、血管内皮を再生して動脈硬化を防いだり、脂質代謝を活発にして肥満防止に努める働きもあります。
そして、「社会的ホルモン」としてのテストステロンには、自分をハッキリと主張する時、必要なホルモンという役割もあって、声が大きくハッキリしている、主張をキチンとするなどのさいに、分泌量が増えるともいわれます。
さらに、脳の認知機能にも関与し、決断力や判断力を高めるといわれています。
ちなみに、「顔の長い人、薬指が人差指より長い人はテストステロンの分泌が豊富」とのこと。
ところで、テストステロンの分泌量は20代にピークを迎え、以降、加齢とともに徐々に減少します。また、1日のなかでも刻々と変化し(日内変動)、夜間、眠っている時に産生されるので、朝、血中濃度が高く、夕方には低くなります。
ただし、60歳代以上よりも40~50歳代の方が、分泌量が少ないという報告もあります(M.Yasuda,The Journal of Health&Gender,2007より)。
恐らくこれは、ストレスなどが影響しているものと思われます。
このように、LOH症候群が起こるのは、おもにテストステロンが減少するという生理的要因によりますが、ほかにも、ストレス、不規則な生活といった心理・社会要因もこれに少なからず関連しているということでしょう。
LOH症候群の診断と治療
日本泌尿器学会・日本Men’s Health 医学会が作成した「LOH 症候群診療の手引き」によると、日本では、血中遊離テストステロン値8.5pg(ピコグラム:1兆分の1グラム)/mlが正常下限値となっています。
これ以下になると、治療介入を行う基準値とされています。
欧米と違って日本人の場合、総テストステロン値は加齢によっても減少しにくいので、遊離テストステロン値で判断されるとのこと。
これに、さまざまな症状(AMS:aging male symptom )のセルフアセスメント型評価を合わせて、26点以下が正常、50点以上を重症としています。症状のセルフチェックは次のサイトでできます。
(「LOH症候群の問診票」http://www.loh.jp/check/01.html)
LOH症候群の専門的治療として、「テストステロン補充療法(TRT)」と呼ばれるホルモン療法が行われています。
経口剤、注射剤、皮膚吸収剤がある中で、日本では、注射剤のエナント酸テストステロンだけが保険適応です。2週間おきに125~250㎎を筋肉注射するのが通常の方法だそうです。
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