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発熱の生理的メカニズム
身体にウィルスや細菌などの感染源が入ると、退治しようとする体内の防御機能が発動します。
その役割を果たすのが、免疫機能の立役者である「白血球」や「マクロファージ」です。
これらは感染源を攻撃し始めると、「サイトカイン」という物質を作り出し、放出します。
サイトカインには「感染がおきたぞ!体温を上げて異物を撃退せよ!」、という指令を脳に伝えるメッセンジャーの役割があり、「発熱物質」とも呼ばれています。
しかし、ほぼすべての身体機能の中枢指令部である脳は、それ自体厳しく管理されています。
そのため、いわゆるセキュリティーチェックゲートである「血液脳関門(けつえきのうかんもん)」が、サイトカインを通過させません。
そこで、サイトカインは「プロスタグランジン」という、血液脳関門を通過できる物質を作り出し、発熱を起こすように「温度調節中枢」にメッセージを伝えます。
指令を受けた「温度調節中枢」は体温の設定を平熱より上げるとともに、全身に「皮膚の血管収縮」「鳥肌(皮膚の毛穴を閉じる)」などを起こして、熱を逃がさないようにします。
また、あわせて「筋肉を震わせる(悪寒)」などの熱産生(ねつさんせい)を促すなどの命令を出し、体温を高く保つ体制を作ります。
なぜなら、ウィルスや細菌は高温が苦手なこと、また、体内が高温になると、免疫機能が活性化し、感染源への攻撃力をさらに高めるからです。
このように「発熱」とはまさに、体内で感染源を総攻撃している状態といえるのです。
運動による体温上昇のメカニズム
運動による体温上昇は、おもに筋肉収縮活動によるもので、筋肉の糖質やグリコーゲンなどの栄養をエネルギーに換えて体温を上げます。
その効果は安静時の15倍にもなりますので、たくさんのエネルギー源の補給が必要になり、肝臓や脂肪に蓄えられている栄養をエネルギーに換えていきます。
また、筋肉を動かすことで、筋肉に血流を集中させるため、体表の血管が拡張し、内臓や脳への血流が減少すると同時に、急に上昇した体温を下げるために、発汗を促します。
このように、運動による体温上昇は発熱とは別の仕組みで体温を上げているのです。
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