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ハッピーな出来事も原因になる
日本でブロークンハート症候群の症例が初めて報告されたのは1990年といわれていますが、阪神大震災や新潟中越地震などの震災時に患者数が急増し、注目されました。
このときの患者も中年の女性に多かったという記録が残っています。
また、この症候群は、肉親や友人の死、口論、失恋などマイナスな出来事によるストレスが引き金となって発症するケースがほとんどですが、必ずしもそうとは限りません。
「European Heart Journal誌オンライン版2016年3月2日号」(※)によれば、心理的な出来事が発症の原因である485例のうち、結婚や孫の誕生など本来喜ばしいはずの出来事がきっかけのケースも20例(4.1%)あることがわかったのです。
つまり、なにがストレスになるかは人によって千差万別、幸せのなかにもストレスは存在する、ということなのでしょう。
※参考:ケアネット「幸せでも“ブロークンハート症候群”発症の恐れ」(https://www.carenet.com/news/general/carenet/42083)
治療法と留意点
ブロークンハート症候群は、時間の経過とともに自然に治癒することも多いのですが、急性心不全や心破裂などを合併する可能性も含み、軽視はできません。
また、この症候群だけが原因で死亡することは稀ですが、持病などがあると死に至るケースもあり、こうしたケースでは症状に合わせた投薬治療などで対応します。
しかし、発症の詳細なメカニズムは明らかになっていませんから、いまだに根本的な治療法や予防は確立されていないのです。
こうした現状を踏まえ、わたしたちが気をつけるべき点は、ブロークンハート症候群の症状である胸の痛みや呼吸困難は、心筋梗塞などほかの病気でも起こりうるということ。
すなわち、症状が出ているのに我慢してしまうと、重大な病気の発見を遅らせてしまうかもしれない、ということです。
「最近、胸が痛む」などの症状を感じたときは、軽く考えずにまずは病院に行って医師に相談するようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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