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ヒューマンサービスや感情労働と「バーンアウト」
バーンアウトという用語が生まれた1970年代後半のアメリカでは、お客さまへのサービス提供を職務とする「ヒューマンサービス」の分野において、バーンアウトの症状が多いことに注目が集まりました。
たとえば、看護者、教員、ヘルパーなどです。
その後、肉体労働と対比して「感情労働」という用語が生まれ、これに従事する人もバーンアウトに陥りやすいことがわかってきました。
感情労働とは、気持ちや感情を主なツールとする仕事を指します。
前述のヒューマンサービスのほかに、客室乗務員や営業、あらゆる接客業、コールセンターのコミュニケーターなど、人間を相手にサービスを提供する職種はおおむね感情労働が多いとされます。
ですから、冒頭では典型的な例としてアスリートやアーティストを挙げましたが、多様化する現代社会においては、誰もが燃え尽き症候群に陥るリスクを抱えているといえるでしょう。
抑うつ状態としての「燃え尽き症候群」
これまで熱心だった人が、急激に意欲や興味を失い、場合によっては、不眠や食欲不振などに陥る…という意味では、燃え尽き症候群を「うつ病」の兆しと診ることもできます。
実際に、症状は「燃え尽き症候群」で、診断は「うつ病」というケースも少なからずあるようです。
たとえば、主婦が子育てを終え、急に抑うつ状態を発症する「空の巣症候群」なども、燃え尽き症候群と同類といえるでしょう。
このように、極度の心身の疲労から感情が枯渇してしまう「燃え尽き症候群」は、特別な仕事をしている人に限られません。
現代社会においては、人とかかわる仕事が主業務である職種が多数あります。
ですから、誰しもなりうる抑うつ反応であることを認識しておきましょう。
【参考】
・(※)厚生労働省 e-ヘルスネット「バーンアウトシンドローム」(https://www.ehealthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-047.html)
・久保真人『バーンアウトの心理学』(サイエンス社 2014)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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