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皮膚むしり症の治療について
皮膚むしり症の人は、自分のやっている行為がよくないと理解しています。
ですから、他人の前で皮膚むしりをすることはなく、ばれないように生活を送っています。
また、独り暮らしをしていたり、本人が皮膚むしりを単なる癖だと思っていたりするため、なかなか治療につながらないという現状が指摘されています。
ただし、家族など気を許せる人の前では皮膚むしりの行為をしてしまうことが多いので、家族に促されて受診につながる人もいるようです。
皮膚むしり症の基本的な治療は、強迫性障害や不安障害と同様に、認知行動療法のような心理療法と薬物療法が用いられます。
うつ病の治療に使われるSSRIで症状を緩和し、クセになっている行動を変容するように心理療法が施されます。
なかでも、ハビット・リハーサル訓練が一般的です。
これは、皮膚むしりという行為に気づけるようにする認知の段階と、皮膚をむしりたくなったとき、それを打ち消すような行動(たとえば、手をぎゅっと握るなど)をとれるようにする行動変容の段階とを組み合わせた心理療法の一つです。
もちろん、皮膚科的な病気があるときには、あわせて治療をします。
いずれにしても、一見すると何気ない行為が、本人も周囲も気づかないうちにエスカレートしてしまうかもしれません。
このような病気があるということを私たちは知っておく必要があります。
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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