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ジストニアとして捉えるイップス
河野氏、松尾氏の両名とも、イップスと「ジストニア」との関連性に言及しています。
ジストニアは、身体が意思とは関係なく動いて制御できなくなる「不随意運動」のことで、全身性と局所性の場合があります。
ジストニアは脳内の神経に起こる変調が原因と見なされ、遺伝性や職業性、脳障害の後遺症や薬の副作用などにより引き起こされると考えられています。
そのなかでイップスは、職業性ジストニアと関係があるのではないかと指摘されています。
同じ動作や姿勢を反復的・高頻度で繰り返すことが、脳神経に何らかの影響を及ぼし脳に変調を来たす、というのです。
局所性ジストニアに多く、アスリートや演奏家、文筆業など身体の一部を酷使する人に発症することが多いため「職業性ジストニア」とも呼ばれています。
イップスでストレスや落ち込みが大きくなる
イップスの原因はいわゆるプレッシャーのような心理的要因?
それとも持続的な神経の局所的興奮による運動障害?
そうした議論は専門家に委ねるとしても、イップスの経験が結果的に大きなストレスになったり、気分の落ち込みに結びついたりすることは想像に難くありません。
アスリートや演奏家のように、高度な成果を求められる職業の人はなおさらでしょう。
そして、原因が分からないままそのような状態が続けば、落ち込み度合いやストレスも増幅してしまいます。
ですから、「いくら練習を重ねてもいざという時にうまくいかない、思い通りのパフォーマンスができない…そんな状態の持続がイップスなのだ」、とまずは理解しましょう。
症状が軽ければカウンセリング、重いときは神経内科などを受診して、早期に対処することが重要です。
イップスである、という心理的負担をできるだけ軽くしてあげることが、回復への近道の一つと言えるでしょう。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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