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PM2.5、光化学スモッグ…健康に与える影響とは?
さまざまな環境対策の結果、日本では多くの大気汚染物質について環境基準の達成率が100%に近づいています。
反面、近年問題になっている「PM2.5」の環境基準達成率は、全国でおよそ88%(地域によっては30%程度)と未だ不十分です。
さらに、光化学スモッグを形成する「光化学オキシダント」に至っては0~0.1%とほとんど環境基準を達成できていない状況です(環境省『平成28年度 大気汚染状況について』)。
それでは、この「PM2.5」と「光化学オキシダント」は、私たちの健康にどのような影響を与えるのでしょうか。
PM2.5
PM2.5は特定の化学物質の名称ではありません。
大気中に含まれる粒子の中で、直径が2.5μm(マイクロメートル)以下の微小粒子状物質(Particulate Matter = PM)を指します。
工場の煙や車の排気ガスなどに含まれるほか、野焼きや山火事、タバコやストーブの燃焼などでも発生します。
髪の毛の約30分の1という非常に微細な粒子のため、吸い込むと肺の奥深くまで到達し、呼吸器系や循環器系の臓器に悪影響を及ぼします。
喘息などのアレルギー疾患や気管支炎、肺がん、不整脈や心筋梗塞、動脈硬化などのリスクを高めるとされています。
光化学オキシダント
排気ガスなどに含まれる窒素酸化物(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)などのガスが、紫外線に当たることで光化学反応を起こした結果、二次的に生成される酸化性物質の総称を光科学オキシダントといいます。
大部分は酸素の同素体であるオゾンで、その濃度が高くなり「もや」がかかったようになる現象を「光化学スモッグ」と呼びます。
光化学オキシダントは粘膜を刺激するため、眼やのどの痛み、息苦しさ、頭痛、吐き気などの症状を引き起こすことがあります。
大気汚染から身を守るために…
目下、自然エネルギーへの転換や、国際的な協力による大気汚染対策が求められていますが、私たちが生活のなかで取り入れられる対処法も知っておきましょう。
PM2.5は、日本では例年3~5月に濃度が上がる傾向にあります。
また、光化学スモッグは晴れて気温の高い、風の弱い日に発生しやすくなります。
大気汚染物質の濃度が高いときには、外出や屋外での激しい運動を避け、極力外気を室内に取り入れないように留意してください。
とくに小さなお子さんや高齢の方、呼吸器系・循環器系の疾患を持っている方は感受性が高く、濃度が低くても影響を受ける可能性がありますので、より注意が必要です。
さらに、一部の大気汚染物質は花粉症などのアレルギー症状を悪化させるともいわれています。
マスクを選ぶ際は、PM2.5対策をうたっている製品を選びましょう。
とはいえ、大気汚染物質は基本的に目視できませんし、光化学スモッグは法令に基づいて注意報や警報が出されますが、PM2.5などは現時点で明確な措置は決まっていません。
ですから、前述の「そらまめ君」などを参考にして、その日の大気汚染状況をチェックする習慣を持たれるとよいと思います。
また、喫煙は室内のPM2.5の濃度を著しく上昇させます。
お子さんのいる家庭では禁煙を徹底するほか、飲食店など外出先においても禁煙か完全分煙を選ぶように気をつけたいものです。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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