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マスクが効果を発揮するシーン
それでは、実際にマスクを着用することによってどのような効果を期待できるのでしょうか。
冬になると着用率が圧倒的に上がるマスク。
使用する理由は千差万別ですが、風邪やインフルエンザの「予防」として使われるケースがもっとも多いでしょう。
もちろん、その使い方は正しいのですが、マスクで風邪などを予防するには限界があります。
皆さんは、市販のマスクに記載されている「PEF」「VFE」「BFE」といった表示は意識していますか?
この表示は対象となるサイズのウイルスをどの程度遮断できるかテストした結果で、マスクの性能を知るための目安となります。
インフルエンザなどのウイルスはとても小さいため、「PEF:微粒子ろ過効率」(0.1μmの微粒子をどの程度カットできるか)や、「VFE:生体ウイルスろ過効率」(0.1〜0.5μmのウイルス飛沫をどの程度カットできるか)の値が高いほうが効果を期待できます。
「BFE:細菌ろ過効率」は、粒子の大きい花粉をどの程度カットできるかの目安となります。
風邪用マスクと花粉症用マスクは厳密には違いますのでご注意ください。
ただし、PEF、VFE、BFEテストをした結果「99%カットできる!」と銘打っているマスクを使っても、ウイルスなどの身体への侵入を99%カットできるわけではありません。
これはあくまでフィルターの性能の話。
実際は、マスクと顔のあいだに多少なりとも隙間はできますので、完全にシャットアウトするのは難しいのです。
さらに、手についた風邪やインフルエンザなどのウイルスは、鼻や口から容易に侵入してきます。
ですから、予防にはまず手洗いうがいの励行が肝心です。
一方、風邪やインフルエンザにかかっている人が咳やくしゃみをすると、たった一回でも周囲に何十万個を超えるウイルスを撒き散らすといわれています。
電車や職場などで周りの人に風邪をうつさないためには、マスクの着用が有効です。
マスクが一番効果を発揮するのは、ウイルスを持っている人が適切に使用するときと言えるでしょう。
マスクを着用しても予防できない?
しかしながら、予防的にマスクをするメリットも少なからずあります。
空気が乾燥する冬、喉も乾燥してイガイガしていると、粘膜のバリア機能が低下し、ウイルスが身体に入ってきやすい状態になります。
乾燥や防寒対策ができる点は、マスクを着用するメリットといえます。
また、完全には防げないとしても、看病などで風邪やインフルエンザにかかっている人と接する場合は、うつらないようにマスクを着用する方がよいでしょう。
ただし、マスクの効果を得るには、自分に合ったマスクを使用することが大切です。
素材や形、呼吸のしやすさなど、使い心地の良い製品を選びましょう。
また、市販のマスクは、花粉症、インフルエンザウイルス、PM2.5など、効果の対象や用途は多様です。
値段の面でも、箱に何十枚か入っているリーズナブルなタイプから、値段は高価ですが医療用に近い高性能マスクまで幅広いです。
就寝時の乾燥対策なのか、体調を崩したくない時期の外出時に使用するのか…など、シーンによっても最適なマスクは変わってきます。
目的と製品の表示を踏まえて選びましょう。
マスクを選んだら、次に重要なポイントは正しく装着することです。
ウイルス侵入の予防が目的であれば、鼻を出して口だけを覆うように装着するのはご法度です。
製品の説明に従って鼻と口をしっかりと覆い、顔との隙間ができないようにしましょう。
また、基本的に不織布のマスクは使い捨てです。
マスクの外側にはウイルスなどが付着していますので、何度もつけ外ししたり、外側を触った手が口に触れたりすると、予防になりません。
マスクはその効果を最大限に得られるよう、今回お伝えしたような内容に注意して使いましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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